労働基準法 8 解雇制限 [労基法19条]
目次
問題
問1労働基準法では、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならないと規定しているが、解雇予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合には、この解雇制限はかからないものと解されている。(平成30年)
労基法19条1項、昭和26年基収2609号
解雇予告期間中に業務上負傷又は疾病にかかって休業した場合は、たとえ1日ないし2日の軽度のものであっても、解雇制限の適用がある。
問2業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している労働者については、使用者が労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む。)にのみ労働基準法第19条第1項の解雇制限の規定の適用が除外される。(平成13年)
労基法19条1項
「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合において、その事由について行政官庁の認定を受けたとき」にも、解雇制限の規定の適用が除外される。
問3使用者は、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合であっても、解雇してはならない。(平成21年)
労基法19条1項
事業の継続が不可能となった場合で、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合は、解雇制限の規定の適用が除外される。
ポイント!!
| 原則 | 例外 |
解雇制限(19条) | ① 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間+30日間② 産前産後の女性が法65条の規定によって休業する期間+30日間 | (イ)、(ロ)の場合には、解雇可 |
(イ) 左記①の場合で、法81条の規定によって打切補償(平均賃金の1,200日分)を支払った場合 (ロ) 左記①、②の場合で、天災その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となった場合(⇒行政官庁の認定必要) |
ポイント+α
○ やむを得ない事由とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、かつ、突発的な事由の意であり、事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置をもってしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいう。○ 事業の継続が不可能となった場合とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいう。○ 解雇予告期間中に、労働者が業務上負傷し休業する場合は、解雇が制限される。このため、解雇制限が適用されている期間中に予告期間が満了しても解雇することはできない。(休業したことによって解雇予告の効力の発生自体が停止されているだけであるため、休業期間が長期にわたり、解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除いては、治癒日に改めて解雇予告をする必要はない。)○ 業務上負傷し又は疾病にかかり療養していた労働者が完全に治癒したのではないが、稼動し得る程度に回復したので出勤し、元の職場で平常通り稼動するときには、就業後30日を経過していれば第19条に抵触しない。○ 産前産後休業における産前の休業は、労働者の請求があった場合にはじめて使用者に付与義務が発生するものであるから、6週間以内に出産する予定の女性が、休業を請求せず引き続き就労している場合においては、解雇は制限されない。