労働基準法 5 労働契約期間 [労基法14条]
目次
問題
問1期間の定めのある労働契約は、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものであれば、3年を超える期間を定める労働契約の締結が可能であるが、その上限は5年である。(平成11年)
労基法14条1項
一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約については、上限は設けられていない。
問2専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が認める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約については、当該労働者の有する高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限って契約期間を上限の5年とする労働契約を締結することが可能となり、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合の契約期間の上限は3年である。(令和2年)
労基法14条1項1号、平成15年基発1022001号
高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約は、高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限って契約期間の上限を5年とすることが可能となるものである。
問3ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新しないこととした。その場合には、労働基準法第14条第2項に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。(平成19年)
労基法14条2項、平成15年厚労告357号
契約期間の満了する日の30日前までに、予告をしなければならないのは、「当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るもの」に限られる。
問4一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、1年を超える期間の定めのある労働契約を締結した労働者(労働基準法第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から6か月を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。(平成16年)
労基法附則137条
労働契約の期間の初日から「1年」を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるものである。
ポイント!!
労働契約 | 契約期間を定めないもの |
契約期間を定めるもの | <原則>最長3年 |
<例外①>3年を超えて契約することができるもの | 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの |
<例外②>5年以内の契約期間を定めることができるもの | (イ)高度の専門的知識等を有する労働者との労働契約(高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限る。) |
(ロ)満60歳以上の労働者との労働契約 |
○ 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(契約期間の上限が5年とされる労働者を除く。)は、政府が必要な措置を講ずるまでの間、民法628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
ポイント+α
● 有期労働契約の締結等に関する基準
1条(雇止めの予告)使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条2項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。2条(雇止めの理由の明示)① 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。② 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。3条(契約期間についての配慮)使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。