【簿記検定受験対策】第151回日商2級の個人的出題予想

今回は、2019年2月24日(日)に実施される第151回日商簿記検定の2級について、私の個人的な予想とアドバイスを提供していきます。なお、3級は第1問~第5問のそれぞれに応じて配点が異なっていたのですが、2級では第1問~第5問の全てが20点ずつの配点となっています。

第1予想 第2予想 第3予想
第1問 仕訳問題
第2問 株主資本等変動計算書 現金・預金取引
(銀行勘定調整など)
有価証券取引
第3問 損益計算書 精算表 連結会計
第4問 製造間接費の部門別計算 本社工場会計 製造原価報告書
第5問 標準原価計算 等級別総合原価計算 直接原価計算
目次

【第1問について】

第1問の出題予想は3級と同じく「仕訳問題」としています(出題予想していないとのお叱りを受けそうですが^^;)。仕訳の知識は第2問以降のほとんどの問題でも必要となりますので、なるべく全範囲にわたって復習することをおススメします。

対策範囲を絞りたい場合、「これだけは難しくて本試験までに習得は難しい」というものに限定してあきらめていくとよいでしょう。出題可能性が低いものから削るのではなく、正答可能性の低いものから削るのです。

また、時間も限られていますし、学習効率を上げるためにも、頭の中で仕訳を考えられるものは頭の中で考えるようにするなど、短時間でより多くの仕訳を復習できるような工夫をすると良いでしょう。

【第2問について】

第2問では、特定のテーマを対象とした勘定記入、株主資本等変動計算書、連結会計など、バラエティに富んだ出題がなされます。

過去10回の出題傾向は次のようになります。

第2問の出題内容 備考
第141回 有価証券取引に関する勘定記入など 仕訳を丁寧に考えれば高得点が可能
第142回 株主資本等変動計算書 その他資本剰余金を財源とする配当含む
第143回 固定資産取引に関する勘定記入など 固定資産台帳の読取・記入もあり。ソフトウェアも登場。200%定率法なども含む。実務に近く、難易度は高め
第144回 商品売買取引に関する勘定記入など 売上原価対立法。商品が2種類あった。先入先出法による払出計算を伴うなど、計算量がかなり多い。
第145回 株主資本等変動計算書 その他資本剰余金を財源とする配当含む
第146回 現金および預金 現金の範囲、銀行勘定調整表に関する基本的な問題
第147回 問1 吸収合併
問2 連結会計
問1は合併に関する基本的な問題。
問2は連結会計に関する仕訳問題
第148回 有価証券取引に関する勘定記入など 仕訳を丁寧に考えれば高得点が可能
第149回 商品売買取引など(輸入取引含む) 売上原価対立法。外貨建取引に関する処理も問われている。計算量が多い。
第150回 固定資産取引に係る勘定記入など 仕訳を丁寧に考えれば高得点が可能
第151回の予想 ① 株主資本等変動計算書
② 現金・預金取引(銀行勘定調整など)
③ 有価証券取引

以前は伝票を集計して仕訳日計表などを作成する問題がよく出題されていましたが、第140回を最後に出題が途絶えております。伝票の集計・管理という内容が3級の出題範囲にもなったことが原因と考えられます。

サイクル的には株主資本等変動計算書の出題がしばらく空いていますので、いつ出題されてもおかしくない状況です。株主資本等変動計算書については、純資産科目が増減する取引の仕訳ができれば、その内容を答案用紙の形式にしたがって埋めていくだけです。まずは仕訳を確実にできるようにするところから対策していきましょう!純資産科目が増減する取引(吸収合併も含む)を総復習しておけば、第1問の対策にもなります。

また、現金・預金に関する問題がそろそろ出題されてもおかしくない頃です。現金の実査や銀行勘定調整に関する一連の基本を確認しておきましょう。銀行勘定調整表については、①両残高基準法、②企業残高基準法、③銀行残高基準法の3種類があります。過去の本試験では②や③を記入する問題が出題されていますので、そこまで含めて対策はしておきましょう。

商品売買、固定資産、有価証券といったテーマに関する勘定記入などの問題も無視するわけにはいきません。勘定記入はもちろん、特定項目の金額が問われたり、固定資産台帳の記入など様々な形式による出題がなされています。丁寧に仕訳を行い、それを転記・集計すれば確実に解答できるものがほとんどです。予想問題などを使って十分に練習しておきましょう。この手の問題が出るとすれば、サイクル的に有価証券取引の可能性が高くなるでしょうか。

第2問で連結会計が出題される可能性もあります。ただし、第3問での出題可能性もありますので、第3問の予想に組み込んでいます。

【第3問について】

第3問は決算を伴う総合問題が出題されます。第2問が特別に難しい場合を除き、基本的にこの第3問が最も解答時間を要することになります。

過去10回の出題傾向は次のようになります。

第3問の出題内容 備考
第141回 精算表 標準的な問題
第142回 貸借対照表 標準的な形式であるば、若干ボリュームが多い
第143回 損益計算書 標準的な問題
第144回 精算表 標準的な問題
第145回 貸借対照表 標準的な問題(ボリュームは少々多め)
第146回 精算表 標準的な問題
第147回 損益計算書 標準的な問題
第148回 連結精算表 連結貸借対照表と連結損益計算書のみの形式。形式に対する戸惑いが生じるかもしれないが、内容は基本的。
第149回 本支店会計 本店の損益勘定を記入する問題
第150回 貸借対照表 標準的な問題
第151回の予想 ① 損益計算書
② 精算表
③ 連結会計(連結精算表or連結財務諸表の作成)

貸借対照表か損益計算書のいずれか1つ、精算表といったサイクルが主流ですが、連結会計や本支店会計が問われることもあります。

サイクル的には損益計算書か精算表の可能性が高いと思われます。なお、貸借対照表、損益計算書、精算表のいずれが出題されても「決算整理を経た後の残高を求めていく」ことに変わりはありません。形式に惑わされず、1つ1つの決算整理を確実に行い、それを集計する練習をしておきましょう。

連結会計については、学習が追い付かずに悩んでいる方もいると思います。次のステップにしたがって、できる範囲で取り組んでみてください。
① テキスト例題に載っているような基本的な連結修正仕訳をできるようにする。
② 連結貸借対照表・連結損益計算書の8~9割以上を埋められるようにする。この段階では、「利益剰余金」については連結貸借対照表を埋めていった最後に貸借差額で計算し、正解すればラッキーという程度で大丈夫です。連結株主資本等変動計算書も後回しで大丈夫です。
③ 連結精算表の作成方法をマスターする。
④ 連結貸借対照表・連結損益計算書だけでなく、連結株主資本等変動計算書も作成できるようにする(連結精算表の作成方法が分かれば、ここまで習得できるようになります)。

【第4問について】

第4問と第5問はともに工業簿記の問題となっています。第4問は一般的なテキストの前半に載っているテーマ、第5問は一般的なテキストの後半に載っているテーマが出題されやすくなっています。ただし、標準原価計算のように第4問と第5問の両方に頻出するテーマもあります。

過去10回における第4問の出題傾向は次のようになります。

第4問の出題内容 備考
第141回 本社工場会計 基本的な仕訳問題
第142回 標準原価計算 パーシャルプラン。月初・月末の仕掛品なし。基礎的な問題
第143回 個別原価計算 一部仕損あり。日付の読取を慎重に行う必要があった。
第144回 材料費など 材料費の計算が中心であるが、製造間接費勘定、仕掛品勘定の記入まで問われていた。
第145回 製造間接費の部門別計算 基本的な問題
第146回 標準原価計算 シングルプラン。月初・月末の仕掛品あり。材料を中心とした内容。
第147回 本社工場会計 基本的な仕訳問題
第148回 個別原価計算 「プロジェクト別」という表現が用いられていたが、内容は個別原価計算に関する基本的な問題
第149回 直接原価計算 直接原価計算によった場合の仕掛品勘定および損益計算書
第150回 費目別計算など 基本的な仕訳問題
第151回の予想 ① 製造間接費の部門別計算
② 本社工場会計
③ 製造原価報告書

サイクル的には第145回以来出題されていない「製造間接費の部門別計算」の可能性が高いと思われます。部門別計算の流れ(全体像)を意識しつつ、基本的な問題を確実に解けるようにしておきましょう。
第2・3予想には、忘れた頃に出題される本社工場会計、製造原価報告書を挙げております。いずれも、工業簿記における一連の処理を十分に理解しておくことが必要となります。材料費や労務費、経費といった費目別計算(予定配賦によって原価差異が生じる場合を含む)を含め、工業簿記における一連の処理も十分に復習しておきましょう!前回(第150回)の過去問もその理解を問う非常に良い問題となっていますので、解いてみることをおススメします。

なお、出題予想には組み込めなかったのですが、個別原価計算についても無視することはできません。万全を期したい方は、必ず対策しておきましょう!

【第5問について】

過去10回の出題傾向は次のようになります。

第5問の出題内容 備考
第141回 CVP分析 標準的な問題
第142回 工程別総合原価計算 標準的な問題
第143回 標準原価計算 パーシャルプラン。月初・月末の仕掛品なし。
基礎的な問題
第144回 単純総合原価計算 複数材料あり(うち1つは平均的に投入)。正常仕損に評価額あり。
第145回 直接原価計算 直接原価計算による損益計算書を作成する問題。
一部金額の推定あり
第146回 単純総合原価計算 工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり
第147回 標準原価計算 パーシャルプラン。月初・月末の仕掛品あり。仕掛品勘定と損益計算書作成のみ
第148回 組別総合原価計算 工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり
第149回 工程別総合原価計算 工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり。正常仕損に評価額あり。
第150回 CVP分析 標準的な問題
第151回の予想 ① 標準原価計算
② 等級別総合原価計算
③ 直接原価計算

第1予想の標準原価計算は、第4問か第5問かを問わず頻出のテーマです。第147回を最後に3回空いていることから、今回出題される可能性は相当高いと考えられます。勘定記入から差異分析まで、十分な対策をしておきましょう!

また、第2予想に掲げた総合原価計算も頻出テーマに変わりはありません。サイクル的には等級別総合原価計算が狙われやすいと考えられます。正常仕損・正常減損が発生するケースも含め、対策は怠らないようにしましょう!

第3予想に掲げた直接原価計算は、第145回の第5問、第149回の第4問で出題されたレベルくらいは解けるようにしておきましょう。なお、直接原価計算を出題する場合、セットでCVP分析の内容も問いやすくなります。前回(第150回)でCVP分析が出題されましたが、万全を期すためには基本的な計算をできるようにしておくことがおススメです。

【最後に】

日商2級は、第1~5問のいずれかで非常にボリュームの多いor難易度の高い問題が出題されることがよくあります。しかし、2級ではどの問題も配点は20点です。1つの問題で大きな失敗をしても他で高得点を取れば十分に挽回可能です。難しい問題が出題された場合であっても、次の3点を意識して最後まであきらめないようにしましょう!

① 難しいorボリュームが多いと感じたら後回しにしましょう。まず他の問題で点数を確保し、余った時間で再度取り組めば良いのです。

② まずは簡単・確実に取れそうな箇所で部分点を集めましょう。満点を取りたいのであれば、余った時間で目指すようにしましょう!

③ 解き方に困ったら、仕訳を丁寧に考えましょう(とくに商業簿記)。一見、どのように解いてよいか分からなくても、仕訳を転記・集計することで解答可能な問題がそれなりにあるものです。

 

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