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(マメ知識の杜)売場づくりの知識(日経文庫) 鈴木 哲男著のご紹介

クレアール経営学研究チーム

今月は、商品構成、売場配置、陳列のポイントなど、売場づくりの「定石」をわかりやすく解説したロングセラー鈴木哲男さんの著書『売場づくりの知識』(日経文庫)をご紹介させていただきます。

供給が需要を上回り、すっかり買い手市場になった上、無店舗小売業、すなわちオンラインショッピングが、ますますもって増えてきています。そこで小売店に求められていることは、「たのしい」店を作り続けることの大切さです。なぜ商品が売れないかを考えた時に、商品自体の魅力が足りないと、ついつい商品のせいにしてしまっていませんか。それは大きな間違いです。どの商品も生産される過程に多くの人が考えを重ねており、売れるとされたから商品化されたのであり、商品のせいには決してできません。商品が売れるためには、その商品に合わせて、商品の良さが伝わる売り場づくりをすることが大変重要なのです。売り場づくりに、大切なポイントは「たのしさ」です。高額商品だけでなく、日常商品の買い物の時でも、お客様が「たのしさ」を感じられる売り場が、商品の本当の魅力を伝えるのです。「たのしさ」を感じられる売り場づくりに必要なノウハウが、本書にはたくさん詰まっています。まさに魅力的なお店づくりのための秘訣本です。もう感覚で売り場づくりをするのはやめて、分析し、よく考えて効果的に売り場づくりをしてみませんか。本書には、品ぞろえや売り場のレイアウト、陳列方法など、売り場を考えていく順序やその方法、またその際に重要なポイントについても、細かく明確に紹介されていますし、ノウハウをわかりやすく解説しています。また、お店の外観づくりや販売促進など、様々な工夫をして、商品をより良く見せる秘訣も、記載されていますし、入店しやすい外観、買い物しやすい店内動線や売り場は一の工夫、おすすめ商品の特徴が、ひと目でわかるPOPや店内販促など、現場ですぐ使える手法などを豊富なビジュアルで解説しています。

小売業を経験したことがない人も、売り場づくりのシミュレーションができるほど具体的で、分かりやすく説明されています。やはりそこで、最も重要なポイントは、意識することが基本であるのに、実際は意識した売り場づくりができていないお店が意外と多い事ではないでしょうか。本書を読んで、もう一度客観的にお店を分析し、重要ポイントをしっかり意識できているかを、是非確認する機会を作ってみてください。ここで、本書にある売り場関連の工夫例を少しご紹介しましょう。一言でポイントを言いますと、お客様が買い物をしやすいように売り場を並べること、だそうです。また、お客様の買い物の順序に従って売り場をつないでいくこと、との事です。

①通路の両側に、関連する商品を並べること。ゴンドラの両側に背中合わせにならべたのでは関連させたことにはならない。同じような商品が、裏表に分かれて陳列されていると、お客様が買いにくいからだそうです。

②曲がり角で関連する売り場をきってはならない。角を曲がって、次の売り場が目に入るところで切らないと、売り場の連続性が途絶え、品ぞろえの豊富感がなくなるからだそうです。

③商品は、横に関連させること。したがって、品種ごとに縦ジマに陳列すること。横ジマの陳列をすると、通路を歩く時の目の高さの違いにより、お客様が品種を見落としてしまう危険があるからだとの事です。

④お客様を引きつけ、誘導するための磁石売り場を配置すること。主通路突き当りまで進んでもらうために、主通路の両側に配置される磁石、通路の突き当り正面で引きつける磁石、別の通路へ引き込むためのゴンドラ・エンドの磁石、ゴンドラごとに配置され商品構成を強調する磁石などを計画的に配置することが、ワンウェイ・コントロールを可能にするとの事です。

磁石となる商品または売り場は、次の条件を持っていなければならないとの事です。

①消費量が多く、購買頻度の高い商品であること
②季節商品あるいは魅力ある商品であること
③明るく、はなやかで、目立つこと
④量感があること

との事です。また、売り場のレイアウトを決めるうえで大切なことは、お客様が気軽で自由な雰囲気を感じるようにすること、との事です。お客様にとって、

①入りやすいこと、歩きやすいこと
②視界にスキがないこと

は、大切なこととの事です。ワンウェイ・コントロールだからといって、強制的に一方通行路をつくったり、売り場側の勝手な都合で、遠回りをさせたり、行き止まりをつくったのでは、お客様にとって心地よい雰囲気の売り場に決してならないのだそうです。通路の配慮とともに、大切なことは売り場をどう配置するかという事だそうです。なぜ、その売り場はその位置にあるのか、なぜその品種はその売り場にあるのかについて、お客様の買いやすさのための必然性のある配置になっていなければならない、との事です。基本は、大分類によって店内を区分して、中分類ごとに売り場を決め、小分類ごとにゴンドラを割り付け、品種ごとに陳列位置を決めていく、との事です。この売り場配置、品種別配置を正しく行うためには、商品の分類が、正しくなされていなければならず、わかりやすい、買いやすい商品分類が、できていないと、お客様にとって、わかりやすい、買いやすいレイアウトは実現できないと作者は言っています。

またほかにも、この本は、いろいろな売り場づくりのノウハウを紹介していますし、第5章では移り変わりの早いお客様のニーズに、より的確にきめ細かく応えるための商品政策や売り場運営の手法『52週マーチャンダイジング』について解説しております。週ごとに販売計画を立てて、きめ細かくお客様のニーズに応えるための手法です。業種や規模を問わないノウハウは、幅広い層にニーズがありますし、小売業を経験の方も、携わっていない方にも、必ず役に立つ1冊だと思われます。是非一読ください。

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