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【対談】石井 和人×佐瀬 永一 「働きながら公認会計士になる」

石井 和人(いしい かずひと)
公認会計士。1982年明治大学商学部卒業。1986年公認会計士登録。筑波技術短期大学講師、日本公認会計士協会情報システム委員会副委員長、同協会監査基準委員会委員、明治大学経営学部特別招聘教授等を歴任。現在、公認会計士桜友共同事務所代表構成員として監査G業務に携わる傍ら、クレアール会計士アカデミー講師として教壇に立ち、会計学を教えている。著書に『非常識会計学!』(共著)『公認会計士試験 短答式 財務諸表論 理論科目集中zトレーニング』『公認会計士論文式 会計学 財務諸表論 演習セレクト50題』『新 公認会計士試験 非常識合格法』最新刊は『ごく普通の人でも難関試験に受かる非常識勉強法!』
佐瀬 永一(させ えいいち)
公認会計士。2008年公認会計士登録。1971年生まれ。1996年東京大学工学部を卒業し、大手企業に就職する。2004年公認会計士第二次試験に合格し、2006年新試験制度への移行科目である租税法と監査論に合格する。クレアール会計士アカデミーの通信講座に在籍し、社会人受験生として、従来の定説を覆し公認会計士試験第二次試験に一発合格。現在、大手企業経理部に勤務中。社会人が合格するためのノウハウをクレアールの社会人受験者向けに定期開催し、受験指導に携わる。

 

石井 本日は、先日、公認会計士として正式登録をされた佐瀬先生にお越しいただきました。旧公認会計士試験時代に、社会人として勉強されて合格されました。今、試験制度の変更を受けて、多くの社会人の方が、クレアールで学習しておられますが、超難関と言われた時から正しい勉強方法で学習すれば、合格できることを佐瀬先生に証明していただきました。現在、一般企業にお勤めだということですが、会計士になられて、どのように変わられたか、あるいは企業の中での待遇面で、立場、職位の面や金銭、仕事の面等を含めまして、会計士の魅力をお聞かせいただければと思います。

佐瀬 うちの会社では、特に変わりません。今、公認会計士になり、何も変わらない日常の中で、名刺に公認会計士と入れられることだけが変わりました。4年前に会計士の試験に受かった時と待遇的には何も変わりませんが、公認会計士というネームバリューというかステータスが一番大きいですね。

石井 公認会計士と名乗れることで、何か実感できることはありますか?

佐瀬 はい。公認会計士と名乗っていることを周りの人たちも知っているので、自分で自分の資格に対する責任の重さを感じます。会社の中で決算を担当しているのですけれども、前よりも責任の重さを感じるようになりました。

石井 今、企業内会計士も結構増えており、私も監査に行くと、お会いする機会があります。それは、自己啓発の意味もあると思いますが、間接的な会計士の魅力として、周りの見る目の変化や、自分をある意味で律せれるとか、そういうのも魅力の一つですよね。

佐瀬 そうですね。会社の経理であっても資格だけでは通用しません。培ってきた実務経験だとか知識があり、尚且つ会計士だったら一緒に仕事したい、というのが本音です。私の場合は、実務から入り、後から公認会計士になったので、一般的に言えば、多少は市場価値があることになるのかもしれませんね。

石井 資格に市場価値があるのではなく、仕事に市場価値がある、すなわち、資格に給料を払うのではなくて、その人のやる仕事に対して払われているということですね。

佐瀬 そうですね。

石井 では、試験制度関連に入ります。以前の試験制度では、働きながらでは難しいと言われ、その中で勉強されたのは、非常識合格法を読んでいただいたことがきっかけだと思いますが、ご苦労や注意点等をお話しいただけますか。

佐瀬 会計士を目指したそもそもの発端は、手に職をつけたいという事と、自分のそれまでの仕事よりもお金の計算の方が好きで、それを職業にしたいというのがきっかけでした。

石井 それは、今の会社に入る前ですか。

佐瀬 いや、今の会社に入ってからです。私は、途中から経理に行きましたのでコンプレックスが根底にありました。企業の経理というのは、たいていは生え抜きばかりです。私みたいに30歳を過ぎてポッと経理に入るのはすごく稀です。私が決算の部署に異動した当時は、20代が3人いたのです。彼らは仕事ができましたが、私にもプライドがありました。それは、努力で日商簿記1級を取得したというプライド。でも、仕事は全然わからず、若い子に教わらなきゃいけないことが悔しかったので、次のステップの資格を取ろうと思ったのです。でも最初は、税理士志望だったのです。

石井 税理士は、働きながら受けるようなイメージもありますからね。

佐瀬 そして、実際に税理士の試験を受けましたが、その試験会場で、クレアールの方がビラを配っていたのです。そこに石井先生のガイダンスの案内があり、クレアールでガイダンスを受けた時に、石井先生が、公認会計士になったら税理士にもなれますと話をされ、それならお得かもしれないと思い、じゃあ、公認会計士にしようと思いましたが、会社を辞めることは考えておらず、仕事と受験との両立を考えていました。ただ、いくつかの専門学校のガイダンスを受けましたが、大手の専門学校さんは、両立なんて何を馬鹿なこと言っているの、という感じでしたね。まともに取り合ってくれたのは、クレアールだけでした。

石井 働きながらだと無理だと。

佐瀬 はい。実はその前から石井先生の非常識合格法の本を読み、すごくフィーリングが合うなあと思っていました。本の中で書かれていた傾斜配点の文章を見て、自分も日商簿記1級の学習で思い当たることがありました。非常識合格法というのは、うさん臭いタイトルですけれども、傾斜配点のくだりを見た瞬間にこれは信頼できると思い、ガイダンスに伺いました。石井先生は、自分の感覚にあったことを話されたので、自然にクレアールで会計士を目指そうと思いました。

石井 社会人は、勉強する時間が少ないので余分なことをやれないですからね。

佐瀬 実際に受験生活を始めてみると、スケジュールと動機づけには苦労しましたが、勉強を日常化するようにできれば、あとはこれを日常業務と決めて頑張るだけです。答練をやるって決めた瞬間に日常の目標が決まりました。ここに答練があるからそれまでに講義を聞き、予習をし、会計基準を見て、スピーチをやろうという予定が、おのずと決まって来ます。それが終わったら、次の答練、その次の答練というように毎日の勉強が日常的になっていきました。会社行くまでテキストを読んでとか、日曜日は起きたら時間を2時間計って答練をやってとかですね。日常化するとある意味仕事と一緒ですから。

石井 そうそう。社会人の方はそういうのは得意ですね。答練は、予習型であるべきですからね。

佐瀬 そうですね。答練はペースメーカーにもなりますし勉強する動機づけにもなりますから合格への近道だと思います。

石井 なるほどね。

佐瀬 クレアールの答練をやると決めた瞬間に、道筋ができるわけですよ。そうしたら他のことをやっている余裕はありません。

石井 その通りですね。ところで、試験制度が変わりましたが、前の二次試験と今の公認会計士試験と比べてどう思いますか?

佐瀬 社会的に考えれば、会計士が増えるというのはいいことだと思いますし、会計関係以外の社会人が受験しやすくなった制度であることは間違いないと思います。短答に一回受かれば、論文も3回受けられるし、論文だって科目合格の制度があり、試験日も金土日になり、いいなあと思います。

石井 社会人が受験し易いようにするためですね。

佐瀬 そうですね。

石井 ご自身のキャリアアップも関係すると思いますが、現状で会計士をご覧になっていて大事だと思われることやご自身の希望などを伺いたいと思います。

佐瀬 まずクライアントへの対応力ですね、これは会計士に限らずどこの世界でも必要ですけれども、心配りを学んで欲しいと思います。あとは、物事を自分で考えられる人が増えて欲しいです。会計基準や実務指針を見て、自分ならこう考えるというのを提示できるような人がいて欲しいと思います。純粋に私達がわからなくて聞いている時に、しっかりと提示して欲しいと思います。自己を鍛錬して、判断できて初めて一人前の会計士だと思いますから。

石井 今後、佐瀬先生ご自身は、ずっと会社にいらっしゃるのですか。

佐瀬 なかなか答えづらい質問ですね(笑)。少なくとも現時点では、会社を辞めるつもりはありません。ただ、資格によって選択肢が広がったというのは、一つの事実として認識しています。他の会社の会計を監査する、ということも、それはそれで一つの魅力的な分野であるとは思います。

石井 なるほど。年齢とともに役職も上がってくるでしょうし、また違った目で見るようになるでしょうから同じつくる側であっても見方が変わってきますしね。私も、ある会社の監査役をやっています。結構大きな会社の監査役を任せていただいているのですけれども、初めて役員側になり、監査する側からされる側、と言うか、監査役だから監査する側なのかも知れないですけれども、役員という立場で取締役会に出たりしてみて、ああ、こういうものかと新鮮に感じた部分が多かったです。監査とまた違うなっていうのはありますね。佐瀬先生も将来、役員になればまた違う立場ですね。例えば経理担当役員とか、そうなられた時に、経理担当役員として会計士と接すると面白いかもしれないですよね。

佐瀬 まだ、珍しいじゃないですか、企業内会計士って。だったらその道を極めた方が楽しいなと思う気持ちの方が強いですね。

石井 企業は生き物ですからね。最後に、社会人で勉強を始める方にメッセージをお願いします。

佐瀬 はい。私は、会計士を目指す受験生の中では、無職の方より、社会人の方が、立場的には恵まれていると思います。それは、受験生活を続けるにはモチベーションの維持がとても大事だと思うからです。受験生活へ踏み出す前に、どうして自分は会計士になる必要があるのか、という洞察があって欲しいです。大好きな人を喜ばせたいといったことでも良いのです。動機づけが一番大事ですね。あとは、受験生活は長い道のりですから、自分にあった勉強法を見つけてそれを日常化する。毎日頑張れるような日常を早く作り、リズムを作ることが大切だと思います。勉強ってマラソンに近いですね。リズムを刻んで行けば目標に向かって走れます。今は、試験制度も変わり、門戸も広いですから、地道な努力が必ず報われます。会計士という資格は、取得後の選択肢が広いので、是非、頑張ってください。

石井 私も社会人の方に受かっていただくと凄く嬉しく思います。社会人の方で受かっている方って、合格する発想がありますね。自分を律せれる人間は会計士試験も受かるけど、仕事もできます。佐瀬先生からのメッセージで、今後も、社会人の受験生がどんどん増えて欲しいと思います。今日は、ありがとうございました。

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