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「2017年公認会計士試験最高年齢合格者である私の合格体験記」 齋藤 滋さん

齋藤 滋さん

  • 受験回数:論文式試験4回

 

はじめに

合格するまでに、長い間、クレアールの皆様に大変お世話になりありがとうございました。
私は通信でしたが、教室で摸試を受け、講師や担任の方に質問し、雑談で励ましてもらい、今回、運よく合格できたものと大変感謝しております。
何回も不合格を味わいましたが、家族が長い間、私のマイペースな生活を許してくれて支えられたお蔭もあり合格できたのだと感謝の気持ちで一杯です。
ここに、今までの足跡を振り返って、特に社会人の方で二足のわらじをはいて合格しようと思っておられる方のためにご参考になることをまとめてみました。

 

公認会計士を志した理由

近年の監査・会計基準の改定、例えば、継続企業の前提や減損がまともに私の勤務していた会社に大きな影響を与えたことに社会人として強い興味をもつようになり、その会計ルールを勉強しているうちに、私はエンジニアでしたが、自分がその監査・会計の専門家として公認会計士になって社会に貢献したいという夢を持つようになりました。また、企業の経営者の方々にリスク管理及び課題解決方法並びに適正な財務諸表の作成について助言・指導して経営を強化し、規制、競争、行政指導などの厳しい環境下に置かれている日本の企業に、問題解決の処方箋を公認会計士として助言指導できればと思い公認会計士を志しました。

 

クレアールを選んだ理由

クレアールの前に他社で勉強していましたが、受講料が高くて教材が膨大で消化不良になっていました。そこの会計士講座は簿記1級を前提としている立て付けだったので、当時は他社の会計士講座ではもう仕訳を教えない等、冗談みたいな講義ばかりで、私には得るものがありませんでした。別の専門学校をさがしていたところ、偶然本屋で非常識合格法の本に出会い、読んでいるうちにこの方法が腑に落ちました。また、価格が値引き後、他社の半分ぐらいでとても魅力的でした。

 

クレアールの良かった点

クレアールは後に50年近い歴史があることを知ったのですが、学習スタート時点で私自身は知らなかったことから、合格に必要なスキルが身につかないのではと心配でした。それにこの価格なので本当に分量やレベルが大手に劣らないか懸念がありましたが、すぐに全く杞憂だったことがわかりました。むしろ、全くその逆で先生、教材、講義内容、担任(サービス)、コストのどの点でもこの業界において最高水準で、私の合格はクレアールでないと実現できなかったと思います。

 

これから学習を開始される方(特に社会人)へ

受験学習の対象(教材)をどうするか?

合格するためには、合格の5W1H(who, when, where, what, why, how)を整備することが重要です。初めにwhatについてですが、これから学習を開始される方は、クレアールを選択した段階でもう何を勉強するのか対象とする教材について悩まずに済みます。これは社会人にとって非常に大きいことで、賢い最善の投資をしたと自信をもっていいことです。一般的に受験生の合格者にぶつける質問として、何をやったのかというのが一番多いと思いますが、この問いを発する必要がなくなるからです。つまり、クレアールを選択した段階でどこかを切るとか考える必要はないのです。社会人だと、それでも勉強を進めるうちに、クレアールの分量をどこか減らしてうまく合格する手立てはないものか、近道はないか等考えるものですが、(私もその誘惑にかられましたが)そんなことは絶対にないので、とにかく教材を全てこなしてください。非常識合格法に書いてある通り、そのように本当に素晴らしく教材とカリキュラムが作られています。

なぜ難関試験に挑戦するのか?

次に、whoとwhyですが、そもそもなぜ自分が公認会計士になろうと思ったのか明確にし、自分が会計士になるために、受験勉強を最優先にすると覚悟を決めることが重要です。
覚悟という点では、社会人にとり会計士の勉強は質においても最も高く、量においても膨大で大変なものです。クレアールの教材の分量については、短答・論文のテキスト(基本・応用・直前)と問題集を7科目集めた厚さは両腕を広げた分ぐらいあり、それに答練・確認テスト・公開模試を7科目集めるとやはりまた両腕を広げた分ほどの量があります。この二抱えもある膨大な量の知識をハンドリングする覚悟をもつということです。また、社会人は精神的にもストレスが相当かかり、勉強に集中できない事態に常にさらされます。私も結局24時間、仕事のことが頭から離れず、対人関係や顧客との関係に悩み、勉強を最優先とはいかないのが正直なところでした。歳を重ねるほど切り替えや集中は増々難しくなります。今年は、論文式試験の前に退職して勉強に集中することができたのが良かったと思うので、社会人の方は合格後もその会社に勤務を継続するかどうかを考慮して、この究極の判断をどうするか、なるべく早く決断するとよいと思います。

受験勉強はいつ、どこでするのか?

次に、whenとwhereについては、いつでもどこでも勉強ができるように体制を整えておくことが重要です。私は働いていたので通学は無理で、通信でしたが、講義や解説のMP3をICレコーダーにダウンロードし、電車の中や歩いているときに1.5か1.75倍速で聞いていました。また、トイレの中までポケット版の定義スピーチや解答スピーチを持ち込みました。1日何時間やるとか週末にまとめてやるとか個人差がありますし、仕事の兼ね合いで計画通りいかないこともありますので、クレアールのスケジュールについていくことを目標に、未消化の教材を貯めないことに徹することが重要です。

 

学習中の方(特に社会人)へ

ひたすらセンス(基礎力)を磨く

合格のための5W1Hの最後のhowですが、これはいかにやるか、どのようにやるかということで、このhowが最後の難関で一番大事です。つまり、勉強の品質(quality)をいかにあげるかということですが、具体的にどのようにしたら質をあげられるかわからないとか、自信がないなどと悩んでいるようでしたら、テキストと問題集を一心不乱にやることです。ひたすら例題と問題を解き、テキストを精読し、センス(基礎力)を磨くことに集中することです。特に、私も含めて短答で計算力が粗点で69%以下等自信のない人は、テキストの例題、問題集の問題を1題たりともおろそかにできません。例題は論点が見出しに書いてあるので、なんとなく解けてしまうこともありますが、これでは本試験の実力はつきませんので、問題集で確認することが必須です。もちろん、計算に自信のある人、特に最近簿記1級に合格された人は、例題をチェックするくらいで問題集の全ての問題をやり尽す必要はありません。

実力の確認方法

それでは、この品質の確認についてですが、それは答練と摸試でチェックするのです。その際、必ず解説講義を聞いて、間違いをチェックする必要があります。そこに質を向上させるヒントあるからです。解説講義の時は自分の答案は提出しているので実際にはどのように間違ったか正確にわかりません。答案が返却されたら、もう一度必ず見直すことが最重要です。私は結局このhowについて、答案の修正、講師への質問、担任への相談で質を向上させて合格できたのだと思っております。返却される頃は記憶の忘却曲線の下がったところなので、ここで間違いを再度修正して記憶を定着させることで、本試験で発揮できる本当の実力がつきました。

 

科目別学習法

短答対策、論文対策と目的を分けて準備してはいけません。短答も基礎、応用、直前講義、直前答練があるので、その進度に沿って短答の問題を重点的に解く期間が短答式試験の1か月から2か月前ぐらいからあります。クレアールから送付されてくる教材が短答式試験に関係があるものに重点が移るだけで、勉強の中味はあくまで論文式試験に目標を置いたものでなければなりません。短答式の過去問の問題集が送られてきますが、財務会計、管理会計、監査、企業法とも単元別にチェックするのに使用していました。単元別に入る前に、直近の問題(初見の2回分)について科目別に時間を測ってどの程度取れるのか自分の実力を調べるようにしました。

簿記

私はテキスト・問題集及び確認テスト並びに答練(特に直前答練)をやりました。テキストは簿記基礎ⅠとⅡで275題、基礎連結89題、応用連結74題、企業結合31題、問題集はⅠとⅡで184題、基礎連結77題、応用連結115題で、集計するとテキストは474題、問題集は309題で合計783題あります。先生の受け売りですが、この解答精度を如何にあげていくかということで、合否がわかれると言っても過言ではありません。1日10題やっても約80日、3か月近くかかることになるわけで、これに答練と摸試が加わってきますから、如何に簿記を早くものにするか(この他の教材をやっている暇はない)が大切です。このうち最重要問題は100%解答できるように繰り返し解くようにすることにより、センス(基礎力)を磨がき、本試験に直結した実力を向上することに努めました。基礎連結と企業結合の確認テストは良問ぞろいで、問題数も少ないので絶対にものにすべきです。

財務諸表論

石井先生の基礎・応用講義テキストと基礎、応用、直前答練の解答スピーチのみに集中しました。その他は、講義で指摘された会計基準の設定の経緯を会計法規集で参照したくらいです。配布される基準集については、本試験中、条文番号を解答する以外に基準集を見て解答する時間はあまりないと思います。短答のためにも定義スピーチの重要性は改めて申すまでのことはないと思います。応用・直前答練の藤橋先生が指摘する重要個所は徹底的に書けるようにしました。そのものずばりは今回の試験で出ませんでしたが、本試験問題を解く際にとても役に立ったと思います。

管理会計

管理会計は、テキストと問題集と答練だけやりましたが、計算問題集は145題あり、できないところを徹底的につぶしたのが良かったと思います。原価計算基準は理論問題集を使って、体系的に覚えるようにしました。管理会計は昨今、理論の比重が大きくなってきているとはいえ、計算ができないと合格者の仲間入りは難しいと思うので、弱点箇所があったら、テキストの例題まで戻ってつぶすようにすべきです。
短答、論文ともに制限時間内に全部解けないといわれており、何を捨てるのかにより合否が分かれると言われて、プレッシャーがかかります。少し眺めただけで判断は難しい場合があり、始めから捨ててかかることはせず、時間内に全部の問題に目を通して、得点できるところはないか、全ての問題に当たれるように時間配分をすることが重要だと思います。見掛け倒しだったり、前の問題が解けなくても解答できる問題が後の方にあったりすることがあります。どう見ても解けなない問題だったり、瞬殺で解けるものだったりは個人個人で異なるので、私は短答ですと、1問当たりの制限時間を例えば5分以上かけないとか自分なりの戦略をたて、普段から練習しました。短答の場合、問題の空欄に1から20(16)の数字を並べて書き、理論からやって、解いた番号に×をチェックしておき、漏れがないように進捗度が一目でわかるようにしました。自分の解く巡行速度で解けない問題は飛ばして(解答は適当にマークする)、何回転かするうちに制限時間で得点できる率を上げることができるようになりました。

監査論

短答式試験については、なかなか合格水準に達しなかったので苦労しましたが、テキストを読み込みながら確認テストを徹底的に解いたことと、短答の過去問解説講義で解き方の方法を学べたことが実力アップにつながり、合格水準を突破できました。配布される基準集については答練や摸試の際に使い方を会得する必要があります。四半期の例文など最後の方に掲載されていたりしますから、利用するコツをつかむと覚える量を減らすことができます。特に本番中では基準集で見ることができない公認会計士法の使命や職責と監査報告書の例文等は必ず覚えておくべきです。また、監査基準やその設定の背景及び倫理規則等を監査法規集で参照しながらテキストを読み込むことをお勧めします。なるべく頻繁に監査法規集そのものを参照することが論文対策に欠かせません。なぜなら、設定の経緯そのものが論文式試験に出ているからです。

企業法

基礎講義テキストⅠⅡ、短答対策、論文対策のテキストはどれも素晴らしく、特に基礎講義テキストⅠを読み込みながら、その都度条文に当たりました。その際、六法でも最初はいいのですが、結局、本試験では試験用基準集を使うので、これで条文を拾えないとアウトです。そのことを心して短答対策と論文対策のテキストをやってください。答練については基礎、応用、直前、摸試をやって間違ったところをつぶせば本試験で、必ず合格答案を作れます。問題提起、規範定立、あてはめ、結論の流れをしっかり押さえ、論証できるようにストリーを整理し、実際に自分なりの解答を書いてみることが重要です。判例や法の趣旨も当然書けるようにすべきで、これらもテキストに全てわかりやすく載っているので勉強しやすかったです。

租税法

短答式試験を終えてから租税法をやるのでは分量が多く間に合いません。租税法は、テキストの例題、章末問題と答練が8回と摸試があり、直前対策を含めてクレアールからの教材をしっかりやらないと合格点に達することができません。基準集は前年のものでも構わないので、(本試験用のものが発売されるまで)講義の段階から使用し、目次から条文を引けるように対策すべきです。法人税、所得税、消費税の法律に基づいて、税額を計算するわけですから、このルールを頭に叩き込まなくてはなりません。理系の私はすぐなぜこんなやり方をするのか疑問をもってしまい引っかかってなかなか点数が伸びないことがありました。また、私は解き方や式をなかなか覚えられなかったので、重要事項と自分の間違ったところをレジュメにまとめて(PCで作成)、加筆修正しながら答練や摸試で使っていました。

経営学

経営管理論はほとんど机上ではやらず、隙間時間にテキストを読んでいました。社会人だったこともありなじみのある科目で唯一やりやすい分野でした。しかし、基本的なKW(キーワード)をきちんと全て理解して書けるようにしておくべきで、論文マスター講義のテキストもあなどれません。財務管理論は論文マスター講義の中にある例題と章末問題、答練、摸試を繰り返しやり、解き方のパターンに慣れるようにし、KWや重要な式のレジュメを作成しました。財務管理論は単元ごとに一度わかってしまうと得点源になるので、講義が始まった時から、少しずつでもものにしていくべきで、短答が終わってからダッシュしようと残しておくのは危険です。財務会計や管理会計と関連するところもあり、ある程度のまとまりで積み込みが効く科目なので早くから手掛けるようにすることが大切です。

 

今年の本試験を振り返って

短答式試験合格後の3回の論文式試験の権利を流してしまい、もう心が折れそうになりましたが、再度、昨年12月の短答に挑戦しました。明らかに準備不足で不調に終わり、捲土重来を期して今年5月の短答に臨み、何とか合格し、8月の論文式試験にも無事合格することができました。また、今年の最高年齢での合格者であることがわかりうれしさもひとしおです。

 

最後に(あと一歩の違い)

「最後まで諦めない」の本当の意味

最後に、合格するには最後まで諦めずに頑張るしかありません。合格した人は諦めなかったのです。多くの合格体験記に「最後まで諦めるな。アウトプット中心の勉強が大事」と書いてありますが、不合格のときにも本試験まで私も諦めずに勉強していましたし、解答スピーチもしていたので、合格するまでこの本当の意味が良くわかりませんでした。

私なりの解釈は、最後まで合格答案になるように自分のアウトプットの質を高める努力を徹底的にすることだと思います。一応本試験までクレアールのカリキュラムについてこれた人は合格点のスレスレにいる可能性が高いです。しかし、ここからが大変です。なにしろ採点は偏差値によりなされ、合格点は偏差値で52%のところで線引きされます。その偏差値1%ポイント前後のところに(偏差値53%、52%、51%の各階層に)今年の論文式試験ですと、それぞれ約200人がひしめいています。このことを常に心に留め、勉強の質をいかに高めるかに自分の神経を集中し、工夫してください。不合格者の千番目ぐらいまでの人は合格者と実力的にほとんど紙一重で、ほんのわずかの差であると思っていいと思います。

合格者の仲間入りをするために

それではこの合格者との差を埋めるために、私は何をやったかというと、自分の(赤ペンの)答案を青で(白紙だったとしても)合格答案にすること(計算・理論とも)を徹底的にやり、なぜ間違ったか、どうして点数がとれていないか分析し、素直に反省することを今年初めて行いました。普通、定義スピーチや(解答・解説集を読んで)解答スピーチをするのは当たり前ですが、自分の答案を見直すのはあまり気が進まないものです。解答スピーチは先生の答案であり、自分の答案を確認してみると、勘違い、思い込み、自己流の表現があることに気が付きました。模範解答のような言い回し、KWを使っていないなど、これではとても合格答案として採点されないと自分でも呆れるものでした。昨今の理論の配点が高い本試験において、重要なところでこれらの誤り、正解とのズレは致命的です。今年はこの答案の修正、そのための講師への質問と担任への相談を行って答案力をつけたことが合格につながったと思います。クレアールでは答案が真っ赤になって返却されますから、これが自分の宝物だと思って大事にしてください。ストックオプションの問題で、条件変更に当たるかどうかの判断について、私は勘違いしていて、本試験1週間前に先生に電話で質問して納得できたことが、(本試験では出ませんでしたが)今ではとてもありがたく懐かしい思い出の一つです。

 

 

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