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会計士試験に合格して手に入れた、3つの自由

会計士試験に合格して手に入れた、3つの自由

目次

森 大地 (平成28年度公認会計士試験合格)

 

はじめに

人生最大の財産は、自由

会計士浪人時代の終盤、私はどうすれば「幸せなお金持ち」になれるかを図書館に通って研究していました。そこで見つけた答えとは、「自由な人生こそ、成功への最短距離である」という事実です。貧乏、仕事に忙殺される日々、やりたくない仕事を続ける環境。いずれの不幸も、根源はすべて「精神の不自由」です。翻って幸せな日常とは、好きな仕事をする、好きな場所に住む、好きなものに囲まれる、好きな人と人生を共にするなど、その大前提に「精神の自由」があります。そして、私が本を通じて出会った偉人たちのほとんどが、こうした自由な(多少ワガママな)生き方をする人たちでした。彼らのような自由人こそ、たくさんのお金を稼ぎ、幸せな人生を送っている「幸せなお金持ち」だったのです。

公認会計士は、自由業です。独立後はもちろんのこと、監査法人内でも、一般事業会社と比べると様々な自由を享受できます。人生の大半を占める職業生活においての自由は、「幸せなお金持ち」を目指す人に限らず、人生を豊かにする大切な財産です。そこで、私が実際に監査法人に勤務して感じた「自由」について、いくつかの視点から述べたいと思います。

 

1.勤務時間が、「自由」

監査は、時間が勝負

会計監査業務の特徴は、監査意見日から逆算した各作業スケジュールの厳しさにあります。なぜなら、監査意見が遅れると有価証券報告書提出が遅れ、被監査会社だけでなく各種利害関係者に多大な迷惑をかけることになるからです。また、早期の調書作成は監査品質向上にもつながることから、監査スタッフにとっては、期日厳守が 重要な評価基準になります。

通常、科目担当者が調書を作成すると、そのあとに主査やマネージャーから査閲というチェックが入ります。日付、誤字脱字などの体裁から、手続の妥当性、網羅性といった監査品質の根幹まで、問題ないことを確かめたうえで最終的な調書が完成します。特に若い年次のときは指摘が入ることも多いため、実質的に調書作成の肝となるこの査閲を十分に受けられる時間を確保することが、監査品質向上のポイントです。

期日を守れば、働き方は自由

裏を返せば、期限にゆとりある調書作成を終えることさえできれば、残業時間などで上司から注意を受けることはまずありません。往査期間や事務所の定時など多少の制約はありますが、早朝残業や土日出社、事務所やカフェ、自宅など、時間と場所には十分な自由があり、組み合わせ次第で定時退社や休暇取得などをある程度コントロールすることができます。私は9月末現在、3月決算上場会社の地方工場往査と11月決算の第3四半期レビューを並行して行っていますが、出張先でレビュー調書の作成や監査アシスタントへの指示をしたり、帰りの新幹線で工場往査時の調書をまとめて帰京後の残業を抑えるといった働き方をしています。

 

2.仕事の幅が、「自由」

アサイン希望で、やりたいことができる

監査法人では、「アサイン表」という個人別、プロジェクト別の業務日程表に従って働きます。イメージとしては、横にカレンダーが続く日程表に、関与しているプロジェクトの線が引かれる形です。ここで面白いのが、人によってアサインの数やバランスがバラバラな点です。以下にいくつかの典型例を図示しました。スタッフ業務では、原則として同一期間のアサイン重複は避けるよう、アサイメントチームがアサイン表を作成します。私の所属法人ではアサイン先について比較的希望が通りやすく、チームの人員構成などがマッチすれば希望通りのプロジェクトに関与できる仕組みになっています。

会計監査、採用活動、受験生支援活動に関与する

監査法人のアサイン別業務制を利用し、私は合格1年目にして多くの仕事に関与できました。会計監査では一定規模の製造業を希望して連結売上高5000億円規模の上場企業と、査閲の厳しい上場監査を一つでも多くと希望して連結売上高300億円規模の11月決算上場企業を担当することができました。また、論文合格前に短答合格者採用で入社し、監査をしながら合格を目指した経験を活かしてリクルーター(採用活動担当者)に、受験生時代の読書への没頭と試験合格の経験を活かしてクレアール学習相談、合格者ブログ執筆、大学生キャリア支援活動に、それぞれ従事することができています。法人内でやりたいことを見つけ、その希望どおりに働けることは、組織人としてこのうえない自由なのではないかと思います。

 

3.自分のキャリアが、「自由」

法人内のキャリア面談で「独立」を目標にできる

会計士資格の最大の魅力は、その潜在的なキャリア自由度にあります。監査法人という組織においても、プロフェッショナル人材の流動性を認めている点は、一般のサラリーマンと比べて特異といえるでしょう。所属監査法人では、期初にキャリア面談を行い、当期目標と中長期目標をそれぞれ掲げます。私はその面談で、中長期目標を「在籍10年で一流の監査人となり、独立起業する」としました。そのうえで、教育担当マネージャーとともに一流の監査人とは何か、そのためには今年に何を成し遂げる必要があるかなどの目標を落とし込む作業を行い、当期の業績目標を設定しました。

最高の仕事が、最高のキャリアを呼び寄せる

現在の私は、入所10年後の独立起業までの限られた期間の中で最大限出世し、会計監査スキルを最大限向上させたいと考えています。そのためには、まず、目の前の小さな業務に全力をささげることが大切だと信じています。一方で、自分ひとりだけでキャリアの成功を掴むことはできません。やりたい仕事をやりたいだけ希望したものの、重複アサインで業務過多になっていたところ、いちスタッフのために監査アシスタントを投入してくださったマネージャーの方。自分の目指したい「一流の監査人」像となった上司との出会い。そして、アサイン希望の弊害でチーム日程を外れることが多くなってしまっても、様々な形でサポートしてくださる監査チームの方々。こうした環境への感謝のうえで、毎日その時点の「最高の仕事」を達成し続け、自分が描く最高のキャリアを手に入れたいと考えています。

 

おわりに

究極の自由は、心の中にある

自由に生きることが成功の最短距離である、と信じてこの業界に入りました。ところが、監査法人の同期で同じ仕事をしているにもかかわらず、自由を感じている人、不自由を感じている人、それぞれ存在するのです。私は、その理由はモノの視方にあるのではないかと考えています。

監査法人がいくら自由であるといったところで、組織であることには変わりなく、一定の規律も存在します。何度も遅刻をしたり上司に失礼があれば怒られますし、仕事を終えずに定時帰りばかりしていたら評価は間違いなく下がることでしょう。高水準の給与も、監査法人間で比べれば一定の差があるのも事実ですし、不公平に感じる人事評価もないとは言えません。

大切なことは、こうした「負の側面」ではなく、自分が感じる「楽しい側面」に目を向ける技術です。そのためには、「これだけは譲れない」という、人生の軸を持つことが大切です。私の場合は、上記3つの自由が譲れない点でした。逆を言えば、それ以外の事項、たとえば給与面や福利厚生、企業のネームバリューなどには無頓着です。譲れない点にこだわり、それ以外には寛容になる。精神の自由のカギは、こうしたシンプルな心構えにあるのではないでしょうか。

 

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