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【公認会計士・簿記検定受験対策】電卓の使い方シリーズ⑤~メモリー機能~

 

山田 和宗

 

山田 和宗 (公認会計士 クレアール会計士講座講師)

2010年公認会計士登録。大手監査法人で約4年間、国内上場企業を中心とした監査業務に従事。その後2010年11月に山田和宗公認会計士事務所開業登録。会計教育に関わる業務を中心に活躍中。

 

1. はじめに

電卓の使い方シリーズ第5回(最終回)ということで、今回はメモリー機能の紹介をしていきます。この機能まで知っておけば、国家試験レベルも含めて簿記の計算で困ることはないと思います。
また、前回(第4回)紹介した定数計算機能と併せた応用例も少し紹介していきます。

 

2. メモリー機能とは

メモリー機能とは、画面表示されているのとは別の場所で数字を記憶しておく機能をいいます。
メモリー機能には、「GT(グランドトータル)メモリー」と「独立メモリー」の2種類があります。「GTメモリー」は簡易版、「独立メモリー」はあらゆるケースに対応できる完全版のメモリー機能といえます。

 

3. GT(グランドトータル)メモリー

(1) GT(グランドトータル)メモリーとは

GT(グランドトータル)メモリーとは、を押して算定した数値を累計していく機能をいいます。
例えば、次のような計算を行う場合、「10 × 20 15 ×× 12 」とそのまま打つと、12,936という全然違う計算結果となってしまいます。

例:10×20+15× 5+3× 12=311

この場合、「10×20」の結果と「15×5」の結果と「3×12」の結果を合計することで311という結果を計算することができます。このような計算を行う場合、GTメモリーがあると一続きに電卓を打って計算することができます。

(2) カシオ以外のタイプ(シャープ、キャノンなど)の場合には設定にご注意

第2回の記事でも紹介しましたが、カシオ以外のタイプ(シャープ、キャノンなど)ではGT ・のようなスイッチが付いていることがあります。GTメモリーを使うためには、その設定をオンにしておく必要があります。

(3) GTメモリーによる計算

上記(1)の計算例「10×20+15×5+3×12311」について、GTメモリーを使用して計算する場合は次のようになります。を押した都度その計算結果が累計されていき、GTキーを押すことでその累計額を表示することになります。

最初の「10 × 20 」を押した段階で画面のどこかに「GT」または「G」が表示されます。「GT」または「G」の表示は、GTメモリーとして数字が累計されていっていることを示しております。

10 × 20
15 × 5
3 × 12
GT

 

4. 独立メモリー

GTメモリーの場合は、で表示した計算結果を単に足していく(累計)していくことしかできません。それに対し独立メモリーは、画面表示されているのとは別の場所に、数字を足していくことはもちろん引いていくこともできます。
M+で足していき、M-で引いていき、MRまたはRMでメモリーの数字を表示することになります。

(1) M+を使う計算(計算例は上記3.と同じ)

例:10×20+15×5+3×12=311

10 × 20 M+
15 ×M+
× 12 M+
MR(またはRM

(2) M-を使う計算

例:10×20+15×5-3×12=239

10 × 20 M+
15 ×M+
× 12 M-
MR(またはRM

(3) 独立メモリーで算出する数値が、計算過程の1つでしか無い場合

ある数字を、「独立メモリーに記憶されている数字」で割ることもできます。次のような、分母の数字を計算しなければならない場合にこのテクニックが便利です。

33 × 24 M+
2,335 7,169 ÷ MR(またはRM× 15

 

5. メモリー機能と定数計算機能を併用できるケース

(1) 個別原価計算(GTメモリーと定数計算の併用)

シンプルな事例であれば、個別原価計算の原価計算表における数字の多くを、一続きで計算しながら埋めていくことができます。なお、こちらは日商2級以上の内容となります。

(設例)
当社は製品を個別受注生産しており、個別原価計算を適用している。次の資料に基づき、指図書別原価計算表を作成しなさい。

① 直接材料費の単価は@1,000円/kgである。#101に5kg、#102に20kg、#103に7kg使用した。
② 直接労務費は@2,500円/時間である。当月の直接作業時間は、#101が4時間、#102が12時間、#103が2時間であった。
③ 製造間接費の予定配賦率は@2,000/時間であり、直接作業時間を基準に各製品に配賦している。

各費目ごとに、製造指図書番号ごとの金額を定数計算で算定し、その合計をGTメモリーで算定することができます。キー操作は電卓のタイプに応じて次のようになります。

① カシオタイプの場合

直接材料費:1,000 × × 20 GT
直接労務費:2,500 × × 12 GT
製造間接費:2,000 × × 12 GT

② カシオ以外のタイプ(シャープ、キャノンなど)の場合(※)

直接材料費:1,000 × 20 GT
直接労務費:2,500 × 12 GT
製造間接費:2,000 × 12 GT

第2回の記事で紹介した定数計算の方法のうち「その2」を用いております。

(2) 将来キャッシュ・フローの割引計算(GTメモリーと定数計算の併用)

毎年同額のキャッシュ・フローが続く場合、GTメモリーと定数計算を併用することで電卓操作を格段に効率化することができます。なお、こちらは、日商1級レベルの学習で登場する内容になります。

(設例)
1年後を初回として、毎年1,000円のキャッシュ・フローが5年間生じる。割引率を5%とした場合の現在価値を計算しなさい。円未満の端数は最終数値を四捨五入すること。

(解答)(単位:円)

解答数値の約4,329は、「1,000を1.05で割った結果」と「1,000を1.05で2回割った結果」と「1,000を1.05で3回割った結果」と「1,000を1.05で4回割った結果」と「1,000を1.05で5回割った結果」の合計として算定しております。

それぞれの分数の計算結果を独立メモリーに足していってもいいのですが、そうするとキーを打つ手間がかなりかかります。
ところが、「÷1.05」を固定化した定数計算を行ってそれぞれの分数の計算をしつつ、その結果をGTメモリーで合計する方法によることができます。キー操作は電卓のタイプに応じて次のようになります。

① カシオタイプの場合

始めに「1.05 ÷ ÷」と打つことで、「÷1.05」を固定化します。そして、「1,000 」と打つことで、「1,000÷1.05」の計算がなされます。さらに、続けてを押すことで「1,000÷1.05」の計算結果を1.05で割ることができます。そして、また続けてを押すことでその計算結果を1.05で割る……ということができます。最後はGTを押して「を押して表示した計算結果」の累計を行います。
1.05 ÷ ÷ 1,000 GT

② カシオ以外のタイプ(シャープ、キャノンなど)の場合(※)

初めの「1,000 ÷ 1.05 」と打った段階で、「1,000÷1.05」の計算がなされるとともに、「÷1.05」が固定化されます。あとはを残り4回押し、最後にGTを押して「を押して表示した計算結果」の累計を行います。
1,000 ÷ 1.05 GT

第2回の記事で紹介した定数計算の方法のうち「その2」を用いております。

 

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