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社会人一発合格者が語る公認会計士試験の合格可能性と合格後の資格の活かし方

公認会計士 佐瀬 永一さん
(社会人一発合格者)

はじめに

日夜、仕事に勉強にがんばっておられる皆様、大変おつかれさまです。

さて、昨今、公認会計士試験に対する社会人受験生の増加に伴い、「社会人受験生でも合格しやすくなったのか?」「合格したら本当に将来は明るくなるのか?」という疑問をお持ちの方が少なからずいらっしゃるようです。

そこで、社会人受験生として会計士試験に合格し、その後も一般企業の経理部で働いている者として、一つの考え方を、私見として述べさせていただきます。

社会人受験生の合格可能性について

誤解のないように申し上げますが、会計士試験の合格が、簡単ではない、という事実には、変わりはありません。しかしながら、以下の点において、社会人受験生が、以前よりも、合格しやすくなっていることは、間違いないといえます。

  • 短答式試験合格の2年後までの持ち越し(1年間で全ての科目に合格しなければならないのと比べて、長期的な戦略に基づいた学習計画を立てられるようになった
  • 科目別合格制度の導入(同上)
  • 2004年度から、論文式試験が8月になった(それ以前は7月実施。この結果、社会人にとっての貴重な休暇であるお盆休みを勉強に充てられるようになった)
  • 試験問題の傾向として、基礎的な知識を元に、その場で考えさせるようなものが増えた(丸暗記の知識がその分だけ不要になるとともに、社会経験を通じて得られるであろう、その場での臨機応変な対応能力が生かせる場面が増えた。その結果、勉強時間が一般受験生より長く取れない社会人でも、勝負できることとなった)

これらの効果は、2006年度の会計士試験の結果となって表れています。今年の論文式に不合格となった受験生が、来年度以降さらに合格してくれば、この数字もさらに大きくなることでしょう。

合格後の就職可能性について

1.一般企業への就職について

一般企業にあって、会計士の資格を生かすとすれば、

  • 経理部・財務部等の部署で、経理知識を生かす
  • 監査室等の部署で、監査的な役割をこなす
  • 企画部等の部署で、経営的な知識を生かす

などが挙げられると思います。

経理部において生かす道ですが、これは一般企業の経理部に所属している自らの経験を踏まえると、まず、経理の実務経験のない方が、「会計士試験合格」という肩書のみで他の一般企業の経理部にいきなり就職・転職するのは、いささか難しいと思われます。

私はもともとはエンジニアでしたが、途中から経理を志望し、異動を認めてもらいました。この時には、日商簿記1級の資格を取っていたのですが、ただそれだけでは異動すらなかなか認めてもらえず、上司や他の人たちを説得するのにかなり苦労しました。

そして、異動してみてよく分かりましたが、経理の仕事をするに当たっては、もちろん資格があればそれに越したことはありませんが、別になくても仕事はできますし、資格を持っていない人の方が、圧倒的に多いです。会計理論など知らなくても、実務ができればそれで十分だったりもします。

私は社内異動でしたが、実務的にはほぼゼロからのスタートであり、実務を覚えて戦力になるまでの苦労は結構大きいものがありました。そこに至るプロセスでは、資格が大きな武器になったことは間違いありませんが、それだけでは即戦力になれるわけではないと思います。

社内の異動ですらこのような状況ですから、即戦力が求められる他社への転職はさらに厳しい状況にあると思います。

ただ、これは、あくまで「経理経験がなく、会計士の資格だけある」方の場合です。ある程度の経理実務の経験があって、かつ会計士の資格があれば、話は別です。特に、決算等の、開示業務に携わった経験があれば、ただでさえ内部統制等で人手不足に追い込まれている多くの企業の経理部にとっては、貴重な人材として、重宝されることは間違いありません。私自身、もし人事権があれば、そのような方は是非ともお迎えしたいくらいです。

もし、これまで経理経験がなく、かつ一般企業の経理系の職種に進みたいというお考えがあるならば、まずは社内での異動を考えられた方が賢明でしょう。その方が、同じ経理に携わるとしても、よその会社にいきなり行くよりはなじみが早いと思います。その経験を武器にしてからなら、他の会社での活躍の場も見つかる可能性が高まると思います。もっとも、そこまで進んでしまえば、所属する会社がみなさんを手放そうとはしないと思いますが。

それから、経理以外の、例えば監査部や企画部等の部署への転職ですが、これも現場の経理を知らないと業務の遂行が十分にできないと思われますので、結論としては上記と同様と思います。

2.監査法人への転職について

これについては、間接的な情報しかありませんが、少なくとも、現在監査法人は究極的な人手不足であることは間違いありません。私の所属する会社でも、今回の決算において、毎日会計士と接している中で、その状況がひしひしと伝わってきておりました。来年、四半期決算及び内部統制が法的に施行されれば、この状況はより進むことは間違いありません。多少昔であれば、年齢の進んだ会計士補は採用から敬遠されるものと相場が決まっていましたが、科目別合格者すら採用している、まさに猫の手も借りたい現状にあっては、年齢は関係ないでしょう。むしろ、社会経験を積んだ会計士であれば、即戦力として、監査法人に歓迎されるでしょう。

なお、転職についての情報は、経理・会計専門の転職サイト等(人材ドラフト、ジャスネット等)がいろいろありますので、合格する前、あるいは試験に臨む前に、そちらにコンタクトを取ってみるのも一策と思います。

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