Read Article

合格者が語る、公認会計士試験一発合格の秘訣【第8回】

第8回 「論文式試験対策の学習方法」

矢川 裕士 (平成28年度公認会計士試験合格)

 

1.はじめに

今回は、論文式試験までの具体的な学習方法についてお伝えします。前回の「短答式試験までの学習方法」同様、各科目別の詳細な学習方法についてはまた別の機会にお伝えしますので、今回はおおまかに論文式試験とはどんな試験なのか、どういった方針で学習すればよいのかということを説明します。

 

2.論文式試験の性質から考える

論文式試験には以下の二点に大きな特徴があります。

一つ目は、全科目記述式の出題であることです。全科目択一式形式で出題される短答式試験では、消去法で解答を選択することができたり、ロジックが難解な論点であってもあるべき解答が選択肢の文章に示されていたりなど、受験生の皆さんにとって有利に働く側面が多々あり論点の網羅的な知識がなくとも十分に戦える試験でした。一方、記述式の論文式試験では前述したような戦術は利用できず、問われた論点に対する網羅的な知識がしっかり頭の中にあり、かつ、それらの知識を整理して文章にすることができなければ得点につなげることができません。短答式試験は知識のインプット力が求められる試験ですが、論文式試験は知識のアウトプット力が求められる試験であるため、問題の解答に必要な個々の知識は持っているのに、知識同士をつなげることができない、上手く文章にできないといった理由で得点できないこともあります。要するに、自分の知識を文章化する力が求められる試験であるというわけです。

二つ目は、法令基準集の持ち込みが可能であることです。受験を始めたばかりの方はまだご存じではないかもしれませんが、論文式試験では会計学・監査論・企業法・租税法の4科目でその科目に関連する法令や法規がまとめられた「法令基準集」という冊子が配布され、試験時間中に参照することができます。この法令基準集をいかに活用することができるかが試験の合否を決めるといっても過言ではありません。

 

3.私の論文式試験対策(方針)

私は論文式試験対策にあたり、前述の性質を踏まえ大きく二つの方針を決めました。

  • 詳細な部分の知識は捨て、知識の網羅的・連続的な理解を優先する。
  • アウトプットを重視する

一つ目については、法令基準集の持ち込みが可能であるという論文式試験の特徴を踏まえた上での方針です。論文式試験では細やかな論点についてはいちいち自分の頭から引き出すのではなく法令基準集から該当箇所を引っ張ってくればよいので、普段の学習でも細かい部分を意識的に学習することはやめにしました。法令基準集にも載っていない論点が出題される可能性も考えましたが、一発合格を目指すうえで詳細な論点の学習に時間を割くのが難しかったことと、詳細な論点は出題されてもほとんどの受験生が正解できず合否に及ぼす影響が少ないことを考え、一切学習しませんでした。そのかわり学習すると決めた論点については網羅的に理解するよう努めました。

2つ目については、短答式試験終了後に短期間で論文式試験に対応する力を養成するための方針です。短答式試験ではインプットのみを意識した学習をしていたため、そのままでは論文式試験にたちうちできないことは明らかでした。また、短答式試験終了時点で主要な論点については十分な知識が身についていると感じていました。そこで、論文式試験対策としては新たに増えた2科目(租税法・経営学)を除き特段インプットの時間を設けることはせず、アウトプットの特訓に集中するのが効率的であると判断したのです。

 

4.私の論文式試験対策(実践)

上記の方針を踏まえ私が実践した学習方法は「本番形式の問題(答練・模試)を本番と同じ気持ちでひたすら解くこと」でした。

この学習方法では、2つの方針を同時に満たすことができました。まず、答練や模試をひたすらこなしていけば当然アウトプット力がどんどんついていきます。また、答練や模試は予備校が重要であると考える論点を絞り込んで出題してきているため、答練ベースで学習を進めることで自然と枝葉の論点を捨て重要な論点の理解を深める学習ができます。さらに、法令基準集を使いこなすコツも身につけることができます。詳細な論点の知識を法令基準集から引き出すためには、最低限法令基準集を使いこなすことができるようになっておく必要がありますが、法令基準集を使いこなすコツは実際に問題を解くために法令基準集を使ってみることでしか身につきません。そのためにも本番形式の問題を解くという学習方法は非常に効果的でした。

 

5.おわりに

今回は私が論文式試験対策として実践した学習方法をご紹介しました。論文式試験はとにかく知識を文章化する力が求められる試験です。決して簡単な試験ではありませんが、必ずしも高得点が求められる試験ではありません。皆様なりのアプローチでアウトプット力を養成し、合格を勝ち取ってください。

 

Return Top