公認会計士合格体験記「公認会計士試験は何も特別な才能が求められない試験」T.Hさん

働きながら合格

目次

公認会計士を目指したきっかけ

研究者やSEなどの自らの専門知識を生かして各分野で活躍する友人たちを見て、自分も専門性の高い職種に就いてみたくなり、受験を決意しました。

クレアールを選んだ理由

「非常識合格法」という考え方にとても共感できたからです。あまり広範囲を勉強すると中途半端になりやすく、合否を分けるのは受験生間での標準問題であるというのは過去の大学受験経験などから感じていたので、効率的に勉強できるカリキュラムだと感じました。

具体的な学習方法

【財務会計論(会計学午後)】

とにもかくにも、簿記一級程度の基礎論点を反復して体に染み込ませることが第一です。私は会計士講座の前に簿記一級講座を受講していましたので、まずは簿記1級の内容を把握し、問題集を反復して体得することを心掛けました。簿記一級の受験後は会計士講座に移行し、応用的な個別論点や、連結会計のブラッシュアップをしました。

強調したいことは、簿記一級範囲や、短答式での基礎論点を早期に確立することは別段難しいことではなく、また他科目含めて全てにおいて優先すべき事項だということです。

これを行わずに理論を伸ばそうとしたり、難しい論点マスターしようとすると、勉強のバランスを崩してしまったり、成績の伸び悩みに繋がることになります。

また、基礎論点を確立する際には、なんとなく惰性で問題を解くのではなく、その計算方法で「何を行っているのか」ということを考えると、仮に応用問題が出題された際に対応できる可能性が上がります。下書きを丸覚えするやり方ですと、後々理解の面で苦しむ場面に繋がります。

理論に関しては、短答式と論文式で対策方法が異なります。短答式については、テキスト、講義でインプットを行ったあとは、答練や過去問でどんどんアウトプットを行いました。特に過去問学習は効果的なので、可能な限り取り組むべきと思います。私は、判定を間違えた肢を含む問題には、その理由を記入したうえでマークをつけ、直前期に高速回転できるようにしていました。

論文式についてはある程度、基礎論点(有名論点)については解答を暗記するという作業が必要になってきます。暗記には正直苦しむ部分も多かったですが、初めから全てを暗記しようとするのではなく、見ずに言えるように「思い出す」という作業を繰り返し行っていくことで次第に大事なポイントは暗記できるようになりました。暗記は大変ですが、諦めなければ次第に覚えるので、暗記からは逃げないでください。

【管理会計論(会計学午前)】

管理会計論は人によって得意不得意がかなり分かれる科目であると感じています。私の受験時代は短答式の管理会計論の難易度が極めて高いことが多かったので、絶対に落とせない基本問題を確実に取りきるということが第一目標でした。そういった意味ではむしろ勉強しやすく、財務会計と同様、教科書設例レベルの基礎的な問題を迷わずに解けるレベルにすることが一番大切だと感じていました。

理論に関しては、財務会計以上に計算のイメージとの関連付けが必要になってきます。財務会計以上に、「下書きをなぞる」勉強方法に陥りやすい科目だと感じますので、この原価計算/管理会計手法は何を目的として行われているのかということを意識して、計算や理論の講義を受講することが、理論の点数を伸ばすことに必要になってくると思います。

管理会計論は論文式の対策についてはあまり時間を割ける方も少なく、実際に素点平均も低くなりがちですので、短答の時に学習した基礎論点を、早く正確に計算することができれば、大きな失点を防ぐことができます。また、短答理論学習時に意識したポイントに関しては、そのまま論文式の論述問題の答えになるもとなりますので、あまり論文用に特段の対策の必要性は薄いかと思います。解答行数も少ないため、ポイントを押さえることを意識すると効率的です。

【企業法】

企業法も短答と論文式で大きく対策が異なる科目の1つです。

短答式の対策は、とにかく○×の判定ができることが大切になってきます。一通り講義でインプットをした後は、財務会計と同じく過去問や答練を数多く解いて、良く問われるポイント(特別決議なのか、普通決議なのか等)を自分で把握してそこを中心に教科書に立ち返る学習が効果的です。×肢については、なぜそれが誤りであるのかの説明は自分でできる必要があります。×になる理由が自分の中で納得できない時には、教科書を読みなおしたりすると良いと思います。短答の企業法は得意科目にできる確率が監査論より高いので、学習してみて得意と思えるのであれば、他の学習ペースとのバランスも考えながら、80-90点を狙うかを検討しても良いかと思います。

論文式の学習は全く短答と異なるので注意する必要があります。基本的に講義で学習する各論点について、結論とその理由、加えて結論が導き出される論理構成を理解する必要があり、短答式のような細かい点での検討はほぼありません。また、論理構成はある種のストーリーですので、一字一句暗記するという勉強は効率が悪いです。授業や答練の解説を聞いて、その論理展開を「なるほどな」と納得していくことが、論理展開を理解していくことに繋がります。そういった点を意識すると、むやみな暗記に苦しまず、初見の論点でもある程度の文章が書けるようになるはずです。ただし、出題された論点をあらかじめ知っているかどうかで点数が大きく変わってくるので、なるべく答練や過去問には触れて、知っている論点を増やしておくことを推奨します。

【監査論】

個人的には一番得点の計算しづらく、勉強の実感のない科目でした。

まずは、講義で説明される内容を理解するところからスタートしました。また、リスク・アプローチの部分は監査論の根幹をなすポイントであり、その後の論点はすべてリスク・アプローチを前提にして展開されているので、リスク・アプローチがあやふやだと感じたときは常に教科書や講義に立ち戻って確認するようにしていました。短答式に関して、報告論は改正論点絡みで丸暗記が必要な個所がありますが、そこは自分で書き出して整理するなどして、暗記できるようにしました。あまり時間を掛けすぎても成績が伸びそうになかったので、短答時にはあまり時間を掛けず、過去問や答練をひたすら回転していました。

論文対策については、他の科目と同じく有名論点、基本論点が存在するので、そういった基礎的な論点については、模範解答をなるべく暗記するように試みました。また、難しいといわれる事例問題に関しても、受験生のほとんどは実務経験がなく、持っている知識差はあまりないはずと考えていたので、答練等で出題された分野を繰り返し確認して、自分の中である程度解答パターンを想定するようにし、習ったことのない手続きなどを思い付きで書かないようには気を付けていました。

【租税法】

論文式対策で一番時間を使ったのが租税法の計算でした。勉強した体感は簿記と非常に似ており、練習すればしただけ点数が伸びていくイメージでした。やるべきことはシンプルに講義を聞いて問題演習、答練をこなすことです。人によって掛けられる時間は差があると思いますが、ある程度時間があるならば、腰を据えてじっくり取り組んでいけば、本番で計算はある程度点数が見込めるようになると思います。

反対に理論に関しては、論文式の中で一番コストパフォーマンスの良い科目ではないかと思います。授業や答練で出た個所については条文を確認して、解答プロセスを頭にいれることを意識しました。問題のバリエーションが少なく、毎年、もしくは数年に1回は必ず出題される分野もあるので、そういった分野に関しては、すぐに条文と結論を記述できるようにしておくと、少ない勉強量である程度点数が見込めると感じました。

【経営学】

ファイナンスについては、基本的な公式とその適用方法に慣れれば、短期間である程度の点数が見込めることが可能になるので、数学が苦手でなければ早めの完成を目指すと経営学のめどが立つと感じました。同じ種類の公式でも、色々な角度からの問い方があるので、過去問や答練を数多く説いて、公式の運用方法を理解できるようにすると良いと思います。

経営管理論に関しては、範囲も広く、出題も読みづらいので試験当日まであまり安心はできない科目でした。あまりに手を広げても意味はないので、とりあえずテキスト、講義で扱う分野から語句・説明問題で記述できるようにし、余力があれば答練・過去問の内容をで肉付けしていく学習法が効果的かと思います。

終わりに

会計士試験は難関試験と言われており、大変な試験であることに間違いないですが、高い数学の素養が必要であったり、大学で学ぶような教養が必要な試験でもありません。

むしろ、財務会計論の基礎的な計算のような、基礎的な学習を諦めずに継続をしたり、複数の科目をバランスよく学習するなどの計画力が求められる試験です。

私の受験の中では、短答式・論文式ともに、できる人が非常に限られる難解な論点を正解する必要があったことは一回もありませんでした。むしろ、試験問題が難化した際に、基礎的な問題を短時間でミスなく拾っていくことが求められることが多かったように思います。基礎を固めることは単純でつまらないと感じることがあるかもしれませんが、そう感じておられているあなたは間違いなく合格への王道を進んでおられる思います。

諦めそうになっても、愚直に続けていれば必ず報われる試験ですので、これから挑戦されるみなさんも頑張っていただけたらと思います。

 

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