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上司と対決して、得られたもの

公認会計士試験合格者 森 大地

目次

夏休みバイク北海道旅行計画

監査法人では、職員それぞれが複数のクライアントを担当し、年間を通じて様々なチームで働くことから、個人別、チーム別に年間のアサイン表(業務スケジュール表)が作成されます。アサイン表はオンラインで社内公表され、だいたい半年先くらいまでが決まっています。9月までのアサインが公表された4月頃、自分の8月の予定を確認すると、1週間ほど予定がない時期がありました。予定なしの期間は基本的に無条件で休暇を取れるので、迷わず休暇申請をし、土日とつないで9日間の休暇を予定しました。9日間の夏休みでは、念願だったバイクの北海道旅行を計画しました。北海道はバイク乗りの聖地です。あの雄大な自然を走るには、夏がぴったりです。休暇の直前までは一年で最も忙しい時期なので、仕事に邁進するための大きなモチベーションにしようと考えていました。

突然の休暇返上要請

ところが、7月の繁忙期に入った段階で、上司から休暇返上の要請が下ります。理由は、当期クライアントが進めている大きなプロジェクトへの監査対応があるため、アサイン表の日程では足りず、他の主要メンバーも含めて日程の再調整をしたいから、というものでした。代わりに前週の3日間を休暇にするという交換条件でしたが、9日間の休暇だから北海道なのであり、3日間+土日の5日間では、バイク北海道旅行には全く足りません。「8月までの段階で進められるところをなんとか頑張るので」といった根拠のない反論も虚しく、半ば強制的に休暇が縮小することになりました。

不満を抱えた1週間

私としては全く納得できません。「本当に休暇を返上しないと業務が完了しないのか」という点についてもほとんど議論せず、一方的に休暇を返上することになったからです。それに、北海道旅行は単なる小旅行ではなく、バイク好きとして初めての「バイク乗りの聖地」への旅、という壮大な計画でした。休暇返上が決まってから数日間は、仕事に対する気力が一気に失われてしまいました。日を追うごとに休暇返上を決めた上司への不信感が募り、必要最低限のコミュニケーション以外は避けるようになりました。さすがに業務に支障をきたすのはまずいと考え、キャリア面談などでお世話になっている別のマネージャーにこの件を相談することにしました。

問題点はどこにあるか

マネージャーには、休暇返上に至った経緯をありのままに伝えました。話をしていく中で、少しずつ問題点が整理されていきました。ことの始まりは、プロジェクトの対応が今のスケジュールでは終わらない、という課題です。この背景には、私を含む現場主査以上の、ある程度経験のあるメンバーを中心に進めようとする上司と、効率性とスタッフの成長機会を考え、もっと下のメンバーを活用すべきという私の意見の対立がありました。繁忙期に入る前からプロジェクト対応は進められていたのですが、現場主査以上のメンバー(2、3名)しか関与していなかったことで個人ごとの業務量が過大になり、その積み残しが今のタイミングの業務に響いていると感じたからです。同時に、事前に申請していた休暇を返上しなければならないということ、やむを得ないとしてもその説明が不十分であったという点も、問題点として挙げられました。

上司との、直接対決

マネージャーへの相談の結果、わだかまりが残った状態で残り1ヶ月の繁忙期を過ごすことは私にとってもチームとしても良くないから上司と本音で対話してお互いが納得して前に進める状態を目指しましょう、という話になりました。私も休暇返上が絶対条件というよりは、やむを得ないのならその理由に納得して前に進む、逆に、自分たちの努力で解決可能なら代替案を提案したい、という考えをまとめました。いきなり二人で本音を話せる状況ではなかったので、マネージャー同席のもと、上司と直接、話をすることになりました。

話は、休暇返上となった理由についてのお互いの主張から、次第に原因となったプロジェクト対応の進め方についての議論、さらには、繁忙期として現在進行している監査業務の現場の実態(遅れているように見えるが、個々の業務では着実に進められている)などを100%本音でぶつけました。ある程度の炎上は覚悟していましたが、意外にも上司には好意的に受け止められました。まず、休暇返上については、確かにアサイン表への更新漏れで予定なしにしてしまったものの、プロジェクト対応に事前関与していた私にはその時期の業務発生を見込んでいてほしかったこと、プロジェクト対応の進め方については、代替案で効率的にできるのであればぜひそれで進めてほしいということ、監査業務については、上司自身が超多忙で現場を見えていなかったこともあり、こうした具体的な現場の声は非常にありがたい、とのことでした。

後半はかなりお互いが本音を話す雰囲気になっていたので、それに乗じて日頃思っているチームの課題点や現場の不満などもぶちまけてみました。上司が忙しすぎて相談しづらい、もっと〇〇さんに管理業務を任せてチームを回してほしい、現場主査が上司からのプレッシャーに負担を感じているなど。話してみると、上司としても課題に共感できるところが多く、多少の意見の相違はありましたが、基本的な方向性には同意し、今後はコミュニケーション増やして現場とすり合わせながら効率的に進めていきたいという話になりました。

結局、休暇は…

結果として、上司との対話の大部分はチームの進め方についてでした。そういった意味では、かなり建設的な議論ができ、私個人としても「このチームで当期の業務を成功させるんだ」という気持ちにつながる良い機会になりました。ところで、もともとの目的は休暇返上でした。モチベーションが上がったとはいえ、バイク北海道旅行への夢はまだ消えていません。対話の最終段階、この対話を踏まえた私の主張を行いました。

本来、休暇が取れなかったはずの週がアサイン表の更新漏れにより、誤って休暇取得が行われてしまった、その業務スケジュールも私としてもある程度想定できたはず、という事実から、休暇返上はやむを得ないとも思える、ただ、心情的にバイク北海道旅行を楽しみにしていた点に配慮していただきたいということもあり、「チームの作業計画を抜本的に見直し、休暇直前までにプロジェクト対応の目処をつけられたら、当初休暇の半分は取得させてほしい」と条件付き休暇を提案しました。

結果は、「ぜひ、お願いします」とのことでした。正直なところ、仕事さえ終われば休暇が取れるようになるというのは自然な話かもしれませんが、諸々の経緯からこのような結果が得られたのは非常に大きなことなのかなと思いました。バイク北海道旅行のためにも、チームの成功のためにも、全力を尽くそうというモチベーションを手に入れることができました。

本音から得られるもの

組織の中で仕事をしていると、他人への期待や不満からフラストレーションが溜まることがあります。根本的な解決には相手との対話が重要であることは言うまでもありませんが、その際の「本音」の質も極めて重要だと思います。その本音が、不満から生じた単なる誹謗中傷なのであれば、相手はもちろん、自分自身の自尊心を傷つける凶器にしかなりません。反対に、その本音が、自分や仲間がどう感じているかという率直な感情だったり、組織が前に進むために必要だと思える意見であれば、内容に否定的な部分があっても、話し合いは前向きに進むのではないでしょうか。

本音は、相手との対話だけでなく、自分との対話にも有効です。実際のところ、相手との対話以上に、自分に対して本音をぶつけることは難しいのではないでしょうか。「本音ではこうしたいけど、現実は〜」といった思考回路で、本音を自分自身にぶつける前に諦めてしまうことが多いのではないかと思います。でも、そういう習慣を続けていると、いつの間にか脳に本音=現実という誤った情報が刷り込まれてしまい、チャレンジを最初から諦めることが当たり前になってしまいます。希望や目標が生まれづらくなり、日々のエネルギーがどんどん、奪われてしまいます。

本音は、理想とも言えるでしょう。理想あっての現実です。「理想という目標があるから、その目標に引っ張られて現実がより良くなっていく。だからこそ、現実がどうであれ、理想を大切にするべき」。会計士受験時代にこの考え方を学び、実践してきましたが、監査法人に入所して6年目、組織に揉まれて理想が霞みがちな今、その重要性を強く感じます。資格試験に挑戦する皆さんは、理想を最後まで諦めず追いかけてください。その過程で得られるものが、皆さんのその後の財産になるはずです。自分自身に絶えず本音を問いかけましょう。

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