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組織に生きるから、個が光る

「サラリーマン会計士」の是非

私は、大手監査法人に所属して会計監査業務に携わっています。組織の中で専門家業務に従事することは、影響力や難易度の高い仕事ができる反面、サラリーマンとして組織に従属的な働き方を強いられるリスクがあります。現に、激務が理由で監査法人を退職していく人の多くは、上司からの際限ない作業指示に振り回されたり、自分の対応可能な範囲を主張できず結果として過大な業務を引き受けたりする傾向が強い人たちでした。

登竜門としての組織

公認会計士は、個の力が問われる専門家の一つです。会計士資格を活かし事業会社に転職する人は、専門家キャリアが評価されるからこそ成り立つものです。会計監査以外のコンサルティングや税務などは、個人で独立して活躍する会計士も多くいます。このような背景から、会計士の中では監査法人に所属することは、専門家としての「修業期間」として捉えられることが多く、組織の中で輝きたいという純粋なサラリーマン会計士は少数派なのが現状でした。

組織人としての専門家

一方で、監査法人で長年活躍するパートナーやマネージャーたちは、「組織人としての専門家」です。ある業種の会計実務に強い人、特定領域の会計論点に精通している人、最新の監査手法を研究している人などが集まり、会計・監査という分野における個々の専門家領域を持ち寄ってクライアントに価値を提供しています。組織人は多種多様なクライアントへの関与、海外事務所や官公庁、事業会社への出向などをベースに経験値を蓄積し、社会的なインパクトのある仕事に携わることができます。半面、業務命令に沿ったキャリアが形成されるため、専門家キャリアの魅力である自由度が小さいのがデメリットです。

個を磨き、組織で輝く

中日ドラゴンズの元監督の落合博満氏は、著書の『采配』(2011年、ダイヤモンド社)で、現役時代のモチベーションはチームプレーとして4番打者を極めることだったと述べています。一流のプロ野球選手も、すべての能力が高いわけではありません。巧打俊足が売りの選手もいれば、ホームラン量産型の選手、守備職人型の選手などが混在しています。そんな中で、落合氏は2番打者なら送りバントがチームプレーかもしれないが、4番打者のチームプレーは打撃で得点を稼ぐことだと考えていました。

この落合氏のチームプレー論が、今の私のキャリアビジョンに繋がっています。組織の一員である限り、組織の貢献を最大に考え仕事をする。一方で、個人として得意なこと・興味あることに関しては、組織の目的の範囲内であれば積極的に行うというスタンスです。組織人を意識すると、組織として行う日常業務に誇りを持つことができます。そして、誇りを持って仕事をするほど専門家業務の興味が拡がり、結果として個の力を鍛えることに繋がります。これは資格試験も同様です。個を磨き、誰かの役に立つ。このシンプルな考え方こそ、受験生活の強力な武器になるはずです。

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