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マメ知識の杜『不動産登記法入門(第2版)』山野目章夫著のご紹介

クレアール法律問題研究チーム

消費税増税を10月に控え、税率の変更に伴う消費の行方も心配されるところ、増税へ向けて一番大きな買い物と言えばなんといっても「不動産」ではないでしょうか。不動産を取得する際にはどんなことに注意をすればよいのか、そして、登記とは何か、本書は不動産登記について分かりやすく解説をしてくれる入門書です。

本の紹介としては「不動産登記法」登記制度はなぜ必要となるのかという根本的な問題より記載があり、具体的事例を明示しながらのケーススタディとして記されているまさに「入門書」という書籍と言えます。本書後半部分がこの本の概要を表しているため、下記にて引用いたします。

まず、そもそも人は、なぜ登記をするのでしょうか。登記をするのには、手数がかかります。いろいろな書類などを準備しなければなりません。司法書士や土地家屋調査士に申請代理を依頼するならば、その人たちに支払う報酬も要ります。何より、権利に関する登記と一部の表示に関する登記については、登記すると、それに着目して登録免許税という税金がかかってきます。それでも人が登記をするのは、それをしないと何か困ることがあるからです。

本書では登記手続制度について「不動産登記制度は、不動産の権利関係を記録して公示する制度」とし、そのために精確である(正当性・妥当性の高い)事が最重要であると説いた上で「それらを公衆に提供されるのでなければ意味がありません」と結んでいます。これは、登記記録は誰もが手続きをすれば閲覧できるものであり、そのため、精確である必要性を訴えると共に、今後の課題なども記しております。

それでは、不動産登記にはどの様なことが記され、私達はこれを持って何を知りうるのか。このことについて見てまいりましょう。

繰り返しになりますが、本書では具体的事例を持って説明してくれています。ここでは、実際の登記記録(登記簿)の一部を掲載することはできませんが、私が理解したところでは、不動産登記とは一種、「土地の履歴書」と言えるのではないかという事です。その不動産についての履歴書に相当するものが登記記録(登記簿)であり、これを公示することによって、公正・安全な不動産取引を行えるものとなっております。

話は変わりますが、上記表現で登記記録(登記簿)と記した点を皆様は気になりませんでしたか?

私自身は不動産に関する書類について、本書を読むまでは、昔のイメージで「権利書」という重々しい、そして「この書類を他人の手に渡したら恐ろしいことになる」というイメージしかありませんでしたので、「登記簿」という言葉が頭にありました。しかし、現在の不動産登記法は2004年の通常国会での承認を得て、2005年3月7日より改正された法律が運用されています。

ここでの大きな改正は「電子記録」という要請でした。それまで、登記の申請はもっぱら書面での申請でしたが「登記申請の電子化」という新機軸を導入し、旧法の条文にあった「登記用紙」という概念を廃し、「登記記録」に取って変えました。これを持って、「登記簿」という名称は現在では電子記録としての「登記記録」となったため、今回は「登記記録(登記簿)」という表現をさせていただき、これを説明させていただきました。

閑話休題。

それでは話を戻しまして「不動産登記記録」には何が残され、どんなことが記録されているのでしょうか。

大きく分けると「表題部」と「権利部」とに分かれています。

「表題部」の役割から見ていきますと、ここには不動産の土地固有に関する事項や建物固有の事項などが記されています。これを持って、その不動産の客観的・物理的な現況が分かります。土地については、分かりやすく表現しますと、住所ごとに不動産固有の番号があり、この土地の性質や用途を記します。例えば、この土地は元々1つの土地であったのか、のちにその土地を分割して2つの土地として登記されたのか、元は畑だったのか、それとも宅地であったものなのか、その土地の性質・用途を記し、さらに土地の面積を平方メートル単位として記します。また、建物に関しては「平成○年〇月〇日新築」などの様に建物に関することを記しています。

「権利部」については、その土地の権利について記されます。その土地は誰のものであるのか(所有権)、土地を購入した際に銀行からの借り入れで、担保に入れられているのか、その場合の抵当権・担保権の内容はどうなっているのか、といったことが登記されます。そのため「権利部」には登記の目的において登記が公示する権利変動の主旨を簡潔に示すものとなります。といっても堅苦しく難しい表現かと思いますので、一般的に使われる言葉で説明をしてみますと、「誰の土地か(所有権保存)」「誰から誰にその土地の権利は移ったのか(所有権移転登記)」「その土地には借り入れなど等あるのか(抵当権設定や賃借権設定、根抵当権設定)」などの記録を登記することで、その土地の所有権の状態を知ることができます。ちなみに住宅を購入する際に地目変更があり、袋小路の土地が販売されていた場合には、土地の接している道路が「位置指定道路(私道)」であった場合に、持分が付いているのかどうか、通行権などの権利はあるのか、なども確認事項に入れておくと良いでしょう。もっとも住宅や土地を購入される場合は、土地の所有者と直接的に売買をすることは少なく、仲介として不動産屋が入っていることが多いので、土地・建物を購入する際には宅建士の資格を持った方にこの様な説明を受けることになるとは思いますが、まれに説明を受けなかった、または受けていたが何の権利の事か分からないまま話を聞いていた、などの問い合わせもありますので、これを機会に知っておくことの強みを感じていただき、ぜひ学習をスタートする機会にしていただければと思います。

本書は入門という形態ではありますが、上述の通り「具体的事例」を設問として考察していく内容のため、これ以上引用を続けますと本自体の紹介というよりも本一冊の内容が分かってしまうことになりますので、ここまでといたしますが、普段なじみの薄い不動産に関する法律が、法令だけでなく規則なども含め細かく規定があることを知ることができる書籍です。さらに、今後ますます変容することが予測される私達の生活スタイルに併せてさらに改正が必要となるであろうという事(本書でも今後の課題としてあげております)。そんなことも知ることが出来た書籍でした。

一生に一度の買い物とも言われる「不動産」について、知らない事が多く、知っていることは強みであり武器になるのだと痛感しました。私たちにとって「知る事」は非常に大切な自己防衛であるのだと思います。ぜひ、資格試験の勉強を通して、また、自分自身の興味が持てたものについては「知識」として身に付けていくことが大切だと思います。

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