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自分を突き動かすドライブが、継続力になる

公認会計士試験合格者 森大地

「公務員」は、職業ではない

職業を尋ねると、「公務員です」と答える人がいます。公務員には、おそらく100以上の種類があるでしょう。国家公務員だけでも官僚、裁判官、自衛官など、地方公務員でも役所職員、警察官、消防士、公立教師・保育士・幼稚園教諭などがあります。これを一緒くたにして、「職業は公務員です」というのは、おかしいと思うのです。

資格の価値は、仕事の中にある

資格は、ある特定の仕事を行うための一条件に過ぎません。問題は、資格取得後の仕事によって人生がどれだけ充実するかにかかっています。公認会計士であれば、会計監査を通じて日本経済を支えるという気概を感じられるかどうか、市役所職員であれば、行政サービスを通じて地域住民の幸福を支えたいと思えるかどうかです。そうした「やりがい」というのは、必ず自分の内側にあるのです。自分の外側にあるインセンティブ(誘因)ではなく、自分を内側から突き動かすドライブ(動因)が見つかった時、努力から苦労がなくなるのです。自分にとってのドライブを見つけ、自然と継続する努力を積み重ねましょう。

自分を突き動かす原動力は、「好き嫌い」

『すべては「好き嫌い」から始まる』(楠木建 著、文藝春秋)では、世の中の人を「好き嫌い族」と「良し悪し族」に分けています。本来、良し悪しで測られるものは世の中の無数にある事象のうち氷山の一角過ぎません。良し悪しで判断されるべきものは、長い社会の歴史によって合意されたルールです。殺人や窃盗などの犯罪から、他人への迷惑行為を防ぐマナーまで、世間全体で合意された「良し悪し」は、すべての人が一律に守る必要があります。

「良し悪し」が氷山の一角が海面に浮かぶほんの一部部分だとしたら、「好き嫌い」は海底に沈む氷山の大部分です。コーヒー派と紅茶派、パスタ派かピザ派といった日常から、単純労働と知的労働、スペシャリストとゼネラリストといったビジネスの選択肢まで、実は世の中のほとんどに「好き嫌い」の余地があるのです。

「好き嫌い族」は、他人の好き嫌いを尊重し、自分の好き嫌いを追求する人です。私の「好き」は、毎朝豆を挽いて飲むコーヒー、最近購入した大型バイクに乗る瞬間、会計士受験生の情熱を呼び起こすブログ執筆活動、将来の独立を見据えた社会経験としての会計監査業務などです。反対に、「バイクは危険だから乗るべきでない」という人、「副業なんてけしからん」という人は、「良し悪し族」です。犯罪やマナーなどの最低限のルールを超えて良し悪しで判断しようとする人は、「好き嫌い」の価値を知らない人です。

誰しも、人生で一度は大きな喜びや感動、充実感や達成感を感じたことがあると思います。そうした感情は、「良し悪し基準」で、良いとされることを行ったから得られたものでしょうか。「好き嫌い基準」で好きなことを行ったから得られたものでしょうか。

自分の言葉を持とう

職業選択は、人生最大の「好き嫌い」チャンスです。今ある環境、能力、機会などからある程度範囲が絞られても、数え切れないほどの仕事が選べます。でも、多くの人は「一般的な」仕事を選びます。最も多いのは一般事業会社の総合職、その次は各種公務員でしょう。問題は、結果として大多数に含まれたとしても、心の底から納得した動機を持てたかどうかです。
たとえば、私が公認会計士を目指したのは、大学時代の就職活動で内定ゼロだった挫折から、会計士受験が自己成長機会として良いと思ったからです。受験を決めた時点では、会計知識や会計士業務内容などはほとんど知りませんでした。それでも、「100%納得して決めた」と言える決断でした。それは、目の前の挫折を直視し、どれだけ大変だとしても自分を変えたいという心のエネルギーが溢れていたからだと思います。そしてその決断は合格3年目を迎える今、自信を持って正しかったと言えます。さらに言えば、監査法人で働く今現在こそ、将来の独立起業に向けた最高の「自己成長機会」になっています。

資格合格を目指す皆さんは、どんな受験動機を持っていますか。社会的地位、給与水準、雇用の安定性、勤務地など、形式的な報酬だけを目的にしていませんか。でも、そこに個人の思いや情熱があれば、自分を突き動かす原動力になります。「息子に立派な姿を見せたい」「家族の暮らしをより良くしたい」「本業を保険に、別のチャレンジをしたい」「日本が誇る美しい地域で働きたい」など。試験への思いを、言葉にしましょう。

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