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シェアリングエコノミーを考える

 

クレアール 金融経済研究チーム

目次

0.はじめに

今、「AI」「ロボティクス」「ブロックチェーン」「オープンイノベーション」等と並び、ビジネスの世界で今ホットなキーワードの一つであります「シェアリングエコノミー」。日経3紙などではたびたびお目見えする新しい概念でありますが、日本では今のところまだまだそれほどメジャーにはなっておらず、この概念に基づいたサービスの利用普及は進んでいない現状です。

しかしながら、これからの経済社会を展望した場合、シェアリングエコノミーの重要性は高く、経済産業省が2017年5月に公表した「新産業構造ビジョン」において、国家として今後取り組む戦略分野として、「移動する」・「生み出す・手に入れる」・「健康を維持する、生涯活躍する」・「暮らす」という4つのテーマを掲げ、その中の「暮らす」に於いて、少子高齢化社会への対応と地方創生に向けた大きな梃子として、シェアリングエコノミーの普及推進に向けた取り組みを行っていくとの方針が打ち出されており、これによる市場創生の可能性に大きな期待が寄せられております。

こうした一部では注目を集めながら認知度のまだまだ低いシェアリングエコノミーですが、これを一言で粗く表現しますと、「自分の個人使用のものを、他人にも有償で使ってもらうという経済活動を通じ、付加価値を創造するもの。」とでも言えるものでしょうか。

一見しますとレンタルや賃貸借と似た概念ですが、構造の違いにつきましては本文に譲るとしまして、ざっとこんな概念であると思ってください。

ただし、こんな今でも十分に普及していると思いたくなるような簡単な経済活動でも、これがIoT,ブロックチェーン及び仮想通過と融合してまいりますと、これまでにない新たな信用創造とまで言えるような大きなニューエコノミー(新産業構造)を作り出す可能性があり、これによりオールドエコノミー(旧産業構造)に取って代わることが近い将来では十分に想定されます。

そして、このニューエコノミーの世界では、上述の「自分の個人使用のもの」が、フィジカルな対象だけではなく、ナレッジにもその対象が大きく拡大していきます。

従いまして、今後大きな進展に期待の持てるシェアリグエコノミーの世界を考えますと、
士業を生業とされますスペシャリストにとりましては、このニューエコノミーの基本を知ることは大きな活動機会を手に入れることにも繋がることになる思い、今般この基礎概念を整理させていただくことにいたしました。

 

Ⅰ.シェアリングエコノミーのインパクト

シェアリングエコノミーのインパクトとしてまずあげられることは、モノの所有の概念が大きく変わることです。
貨幣経済のスタートから、これまではモノの販売や購入を通じて所有することが当然の世界であったことが、シェアリングエコノミーの一般化で所有から共有するという考え方が一般化してまいります。

過去のように所有することに不安を感じない時代から、現在のような、将来に不安感を抱かざるを得ない不確実性の高い時代へ突入したことで、一人で持つのではなく共有を前提として所有することを選択する、もしくは選択できる時代へと歴史は変遷しております。
なお、この共有を前提としたシェアリングエコノミーが誕生した背景には、上記不確実性の高まりとともに、テクノロジーが大きく進化したことも大きな要素としてあります。

インターネットやWebそしてデジタル射程といったテクノロジーが1990年台頃より大きく進化普及したことにより、人と人、人と物そして人と情報の繋がりが時間的にも物理的にもほとんど感じることなく実現されるようになり、これによって、それらの利用者、提供者が直接繋がることもできるようになったとともに、利用者と提供者をマッチングさせるプラットフォーム企業も出現し、誰もが利用者に、また提供者になることができるようになります。
なお、このようなビジネス形態をPtoP(Peer to Peer:個人のPC同士が直接繋がるイメージです)と呼ぶことがあります。
PtoPはBtoCと違い、提供者と利用者が一方通行ではく、利用者が別の場面では提供者にもなるという大きな特徴があります。(BtoCの場合は企業と消費者との関係に基本不可逆的な関係であると考えられます)

また、その他のインパクトとしましては、個人や小さな会社がビジネスのプレイヤーとして参画できるというスモールプレイヤーの活動機会というところもあらゆるものを変える材料になります。個人が参入できるということは、副業される方が増える可能性にもつながります。副業が許される時代となってきた昨今では、仕入等のリスクなく収入増の期待が持てます。買ったものが価格以上の価値を生み出す可能性があると考えますと、ワクワクしてまいります。

そしてこれら可逆性とスモールプレイヤーの活動可能性に、デジタル技術が加味されますと、P to Pの取引対象はナレッジにも拡げることが可能で、知っている人から知りたい人へのナレッジの移転も、現在の自己顕示的な側面で拡散しておりますWebサイトの域を脱し、より価値が生まれる連鎖が作られる可能性があります。すなわち、ナレッジの移転共有に付加価値がつく機会があるとすれば、交換・拡散の機会が増え、それによりさらなる付加価値が創造されてくるという信用創造にも似た機能が働き始めるとともに、デジタルの世界ではそこにネットワークの外部性効果が加わり、さらなる価値向上の土壌が作られるという新たなエコシステムが誕生するという仕組みです。

 

Ⅱ. シェアリングエコノミーのメカニズム

次の、そもそもシェアリングエコノミーとは?についてですが、日本では一般社団法人シェアリングエコノミー協会にて「シェアリングエコノミーとは、場所・乗り物・モノ・人・お金などの遊休資産をインターネット上のプラットフォームを介して個人間で賃貸や売買、交換することでシェアしていく新しい経済の動き」と定義しているようです。

レンタル業との違いは、もとからレンタルの商売をするために所有するレンタル業者に対して、自身が利用することで購入したモノ等を、利用していない時に、その遊休資産を希望者に提供するところになります。

そこで、これまでの記述も含めまして、シェアリングエコノミーの特徴的なポイントまとめますと、ポイントは次の3つに表現できるものと思います。

① 遊休資産の活用
② PtoP型
③ プラットフォーム企業の存在

次にシェアリングエコノミーの領域をシェアリングエコノミー協会では5つの領域として設定しております。

① モノのシェア
② 空間のシェア
③ 移動のシェア
④ スキルのシェア
⑤ お金のシェア

そして登場するプレイヤーは

① 共有によりサービスを提供する個人
② 共有サービスを仲介するプラットフォーム企業
③ 共有によるサービスを受ける個人

さて、このシェアリングビジネスを成功させるにあたって重要になってくるのが、取引の信頼性をいかに高めるかになります。この信頼性を保証するにあたり、テクノロジーの進化によってできたプラットフォーム企業がシェアリングビジネスで必須であることは言うまでもありません。なお、プラットフォーム企業は様々な取り組みにより信頼性を高めているわけですが、最もその信頼度の保証となるのが、利用者、提供者の評価です。お互いにプラットフォーム上で評価することで、信頼度の保証はもちろんのこと、品質の向上にもつながり、場合によっては既存の同様のビジネスより品質が高いケースも海外ではあるようです。

また信頼性とともに重要なことは、その契約を行うことを宣言した本人が正規の主体であることが担保されることであり、これは真正性と呼ばれます。所謂「なりすまし」のヘッジです。そしてこの真正性担保に大きく貢献するテクノロジーとしてブロックチェーンに期待が寄せられております。なお、ブロックチェーンにつきましては、本メルマガでもご紹介させていただきましたことがありますので、是非バックナンバーもご参照ください。

Ⅲ. シェアリングエコノミーが生まれた背景

シェアリングエコノミーが生まれた背景のひとつにリーマンショックがあげられます。
先行き不透明な時代に、上記の大きな出来事を機会に、人はモノを持たなくてもよいということに気づきました。
また、世の中では地球温暖化が進行するなか、新たにモノをつくり、モノがあふれることが環境破壊につながることも、このビジネスモデルの成長にプラス要素となりました。

そして前節にもございますように、テクノロジーの進化もシェアリングエコノミーを生む大きな材料となりました。なお、消費者の意識はどのようになってきているかという部分では、日本では特に認知度が30%程度(2017年5月時点)と低く、利用経験も10%を切るのが現状で、まだまだこれからというのが実態です。ただし、利用者の好感度は高く、複数回利用しているようです。
以上から、よりより身近になっていくことで、一気に利用者が増えるポテンシャルがあることに間違いはなさそうです。

 

Ⅳ. シェアリングエコノミーが変えるビズネス・社会

【世界の事例について】

本格的な新しいビジネス形態としてシェアリングエコノミーが生まれたのが10年ほど前からと言われています。まずは、先を行く海外の事例をご案内させていただきます。

・モノのシェア

  • Yerdle:物々交換をプラットフォーム上で提供する会員制オンラインビジネス
  • Spinlister:用具のレンタルサービスをプラットフォーム上で提供するオンラインビジネス

・空間のシェア

  • Worldpackers:旅行者向けに宿泊先の紹介サービスを提供しており、スキルマッチングの要素が組み込まれた点に特徴があります。
  • DogVacay:旅行中に犬を預けたいオーナーと、地元のドックシッターを結び付けるマッチングサービスを提供することからスタートし、現在では日中の預かりサービスも提供している。
  • HomeAway:特別な体験がしたい旅行者と、貸し出しスペースを持つホストをマッチングさせるビジネスモデル。

・移動のシェア

  • BlaBlaCar:中・長距離のライドシェアのプラットフォーム。
  • Turo:車の貸し借りをマッチングするサービスを提供する企業。

・スキルのシェア

  • Feastly:料理をふるまうことが好きな人と食べたい人をマッチングさせるサービスを提供。
  • Shareyourmeal:オランダ創設の非営利のフードシェアリング・プラットフォーム。

・お金のシェア

  • LendingClub:貸付型クラウドファンディングを提供するサービス。

【日本の事例】

日本においてもシェアリングビジネスの事業者が増加していますが、配車サービスやス
ピタリティ関連のサービスに関しては、免許制に代表される規制の影響があるようです。
また、スキル分野の事例が多く存在するのも特徴です。

・モノのシェア

  • airCloset:月額制のファッションレンタルサービス。
  • トイサブ!:乳幼児(0〜3歳)を対象とした知育玩具のレンタルサービス。

・空間のシェア

  • STAYJ APAN:日本初の公認(合法)民泊のみ取り扱うサービスを提供。

・移動のシェア

  • Notteco:国内最大級のライドシェアサービス企業。

・スキルのシェア

  • お迎えシスター:幼稚園と保育園の送迎と、帰宅後の英会話レッスンの2つのサービスをパッケージにして提供。
  • Tadaku:料理が好きな人と、それを食べたい人をマッチングさせるサービス。

・お金のシェア

  • CAMPFIRE:国内最大級のクラウドファンディグサービスをプラットフォームとして提供。
  • FARM Sports Funding:スポーツアスリートを支援する、ジャンル特化型のクラウドファンディグサービス。

【経済効果や規模を試算する】

・定量的なインパクト

まずは経済規模推計ですが、PWC英国が2014年に世界全体の推計を公表しており、2013  
年の150億ドルから2025年には3,350億ドルまで急激に成長すると推計しております。

また、大手コンサルティング会社のアクセンチュアは、シェアリングエコノミーを含むサーキュラーエコノミーの経済規模を2030年をめどに4.5兆ドル規模にまで成長すると推計しております。

日本では矢野経済研究所が、シェアリングエコノミーの市場規模は、2015年の285億に対し、2020年にはオリンピック・パラリンピックの開催もあることから600億規模に成長する見込みと発表しております。次に情報通信総合研究所によれば、シェアリングサービスの市場規模は年間1兆1812億円とされております。最後に新経済連盟による試算では、宿泊におけるホームシェアにおいても、それに伴うインバウンド消費を含めた経済効果を12.3兆円と見込、ライドシェアも3.8兆円と試算し、渋滞緩和による損失時間減などによる生産性向上を含め、大きな経済効果を生み出すとしています。

日本のシェアリングエコノミーの成長は米国などに比べればスタートが遅いものの、2020年の五輪需要により大きく推進することが想定されることと、20代〜30代の方が何かのきっかけで利用者増となり、大きく成長することも充分な可能性がございます。

【シェアリングエコノミーの問題点】

新しい経済構造であることから、従来の経済構造との温度差とギャップを生み出している可能性があり、また、実際に信用問題や労働問題、税務問題などが発生しております。

① 価値提供の品質の問題

そのビジネスのプロフェッショナルでなくともビジネスができてしまうこともあり、品質のばらつきがでてしまう可能性があります。また、宿泊のシェアリングビジネスにおいて、米国では既存のホテルがプラットフォーム企業のフォームを使う等の悪徳業者が出現したりしました。このような既存産業とシェアリングビジネスとの競争関係も課題となっています。

② 楽々乗り越えてしまう参入障壁

誰でも参入でくることもあり、許認可制の産業からの大きな抵抗があるのも事実です。

③ 労働問題、その他の課題

労働問題では最低賃金などの規制、社会保険の加入などの義務もないところは当然でありながらも問題なしとは言えないのも現状で、このような法の整備や税金等も課題となっています。

【社会課題解決への貢献】

当然新たなビジネスモデルということもあり、問題点があるものの、社会的な課題の解決に貢献できるとも言われておりますので、ご紹介させていただきます。

(1)働くことの意識が大きく変わる

これまでの収入を得る方法としては、「自分で起業する」、「企業に勤める」、「個人で事業する」などがあげられますが、「自分で起業する」としても基本的には一定の資本を持たなければならなかったところ、このシェアリングビジネスの出現により、資本や特殊技術を持ち合わせていなくとも収入が得られるようになりました。働き方の多様性という部分でも、新たな選択肢として期待が持てます。

(2)地方創生

地方自治体における課題は人や財政などが足りないというものが多く、ここにシェアリングエコノミーの考えを導入することで解決できる可能性がでてきます。
なお、実際にシェアリングシティ構想も動き初めており、海外ではソウルやアムステルダム、国内では秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県静岡市、佐賀県多久市、長崎県島原市がシェアリングシティ宣言を掲げております。

以上は一例ですが、シェアリングエコノミーがもたらす経済構造の変化は、人の働き方や地方のあり方など様々な社会課題を解決する方法をもたらしているのも事実です。民泊やライドシェアなどの主要サービスだけでなく、日本にもっとたくさんの分野でシェアリングサービスが立ち上がれば、社会課題解決のスピードもより上がっていく可能性があるものと思います。

Ⅴ.シェアリングエコノミーの未来

現在、シェアリングエコノミーにつきましては、大企業が参入を始めだした、というのが現状況です。なお、その中心となるプラットフォーム企業への大企業の投資ですが、必ずしも関連する企業が投資をしているわけではないところも特徴となります。

また、シェアリングエコノミーでは個人が主役となります。個人が提供できるモノやサービスは、規模は小さいものの、選択肢は個人の数だけあると考えますと、これからも発展していくのは間違いないでしょう。こと日本のシェアリングエコノミーを考えてみますと、上記でも記しましたとおり、自治体あげての取り組みが増えてきているなか、2020年度の東京オリンピックを起点に、大きく拡大する可能性があります。宿泊施設の不足を考えますと、民泊などのシェアリングは間違いなく拡大するでしょう。

成長が予想されるシェアリングエコノミーで勝ち抜くには、提供者と利用者の信頼関係構築がポイントになることはこれまでの内容でお分かりになるかと思われます。また、収益を出すという部分では、一定のボリュームが必要になります。この面では、これまでも触れてきましたとおり、自治体などのコミュニティとの協業で規模を手に入れることが重要になってまいります。高齢者問題や地方創生などの日本固有の社会課題における解決アプローチにシェアリングエコノミーを使うことも一つの手です。

そして、規制やルール作りも重要です。また、日本は100点満点の可能性をお膳立てして初めて動き出す傾向にありますが、スピード感が重要なシェアリングビズネスでは、60点でもいいので、トライアンドエラーをしながら進むことも重要になってきます。

 

Ⅵ.終わりに

最後となりますが、既存の企業ではこのシェアリングエコノミーの成長の可能性を想定し、防衛策や自社でも進出について検討する必要があるでしょう。
当然ですが、既に参入しているプラットフォーム企業では、信頼を失うことがあればあっという間に顧客離れが起きますので、そのようなリスクを最小化しながら経営しいていく必要があります。

また、個人の影響力が強くなる時代になった今、更にその個人の人間力を向上させるインフラとしてもシェアリングエコノミーが大きな力を発揮することに期待できます。

大きな可能性を持つこのシェアリングエコノミー、この時点でも皆さんの生活のどこかで活用されている可能性がございます。この機会に是非確かめていただいてはいかがでしょうか。

そしてこれからの試験合格後には、是非皆さんのナレッジを、シェアリングエコノミーで拡げていただき、より豊かな日常を創生されますこと祈念してやみません。
これからも精一杯の応援をさせていただきます。

 

(参考文献)
「シェアリングエコノミーまるわかり」  日本経済新聞出版社
「新産業構造ビジョン」 経済産業省 産業構造審議会 新産業構造部会 事務局
「情報経済の鉄則」 日経BPクラシックス

 

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