まいどです。
今回は穀物生産量のお話です。
総務省統計局発行の「世界の統計2011」によりますと,
2009年度における主要穀物の生産量は以下のようになっています。
穀類総計 2,489,302,000 t
米 678,688,000 t(ただし,精米後重量ではなく籾付きでの重量)
小麦 681,916,000 t
大麦 150,272,000 t
トウモロコシ 817,111,000 t
……生産量はトウモロコシが最大なんですね。
これはイモ類の合計(752,632,000 t )や大豆(222,269,000 t )と比べても,
大きい値となっています。
米や小麦の生産量が多いのは納得できますが,
トウモロコシの生産量がこれほど多いのはちょっと意外かもしれません。
世界的に見て,
トウモロコシを主食としているのは,
メキシコなどの中米の国々や東アフリカ諸国などですが,
人口比的に見ても米や小麦をしのぐ消費量が必要だとは思えないですよね。
実は,
トウモロコシの生産量がこれほど膨大になっているのは,
「飼料用作物」として非常に重要だからです。
私たちが「穀物」と呼んでいる作物のほとんどすべては,
家畜の飼料(要するにエサですね)としても利用されています。
なかでもトウモロコシは,
世界生産量の実に64%が飼料用として消費されています。
(小麦の場合は世界生産量の16%が飼料用だそうです)
穀物全体では,
総生産量の35%が飼料用とされているという統計もあります。
これは,
「畜産」という産業の形態上,
肉類を生産するために大量の飼料が必要となってしまうことに原因があります。
資料によって数値にばらつきはありますが,
牛肉1kgを生産するために,
穀物がおよそ8~11kgほど必要だといわれています。
また豚肉1kgならば穀物7kg,鶏肉1kgならば穀物4kg,
さらに日本では重要食材である鶏卵も,
1kg生産するためには穀物が3kgほど必要になります。
ですから,
中国などの人口大国で肉食が普及するということは,
穀物の需給状況に対して非常に大きな影響を与えることになります。
少し古い統計によりますと,
サハラ以南のアフリカ諸国における一人あたりの年間穀物直接摂取量は,
およそ123kgだそうです。
また,牛肉大国であるアメリカの年間牛肉生産量はおよそ1,200万トンですから,
単純に計算すると,
アメリカの牛肉生産量を1%削減するだけで,
これらの地域の人々およそ1,000万人が食べていけることになります。
実際には,
これらの人々も穀物のみで生活しているわけではないので,
こんなに単純にはいきませんが,
今後,世界の食糧事情が逼迫してくれば,
先進国の畜産のあり方に疑問を呈する国々も増えてくるかもしれません。
正直なところ,
飼料用として消費されている穀物をそのまま人間の食用として供すれば,
世界中で飢餓に瀕している多くの人々が救われることになるわけですから。
そもそも,
人間が主食としていた穀物を,
家畜がこれほど消費する状況が生じたのは,
わりと最近の話です。
もともと牛をはじめとする家畜たちは,
牧草などを主として食べていたわけで,
(まさに「草食」です)
穀物などを与えられてはいませんでした。
ところが,家畜,特に食肉を生産する専門家が現れるようになると,
エサとして牧草を食べさせているよりも,
トウモロコシなどの穀物を与えたほうが成長も早く,
また肉質も格段によくなることがわかり,
一気に「穀物食」が増加した,
という経緯があったようです。
普段は何気なく食べている「お肉」ですが,
これからは少しだけ穀物消費のことも考えるようにしたいですね。
ところで,
私たち日本人の年間牛肉消費量は一人あたりおよそ10kg,
つまり一か月あたり800gあまりということになりますが,
先進国の中ではあまり大きな値ではありません。
これが「牛肉大国」アメリカですと,
年間一人あたりおよそ38kg前後ですから,
(これでも以前よりは減少しています)
日本の4倍近い牛肉を消費しています。
ちなみに,
統計上で一人あたりの牛肉消費量がもっとも大きいのは南米のウルグアイで,
なんと年間で60kgを超えています。
1日あたり170gって……
でもまあ,
某ハンバーガーチェーンのビーフパテ2枚分ぐらいですから,
日本人でも毎日これぐらい食べている人はいるかもしれません。
そういえば,
ウルグアイとアルゼンチンは,
この某チェーンの「ビッグ○○○」が世界でもっとも安価な国としても有名です。
(日本の半分以下だそうです)
今回は少し長くなってしまいました。
次はネタが変わる予定です。
とはいえ,
私たち日本人が米を主食としていることは間違いないわけですが,
世界的にみると,
米を主食としている地域は東アジアおよび東南アジアがほとんどで,
その他には西アフリカの一部の国などしかありません。
(セネガルなんかがそうです)
カレーライスのイメージからインドも米を主食としている印象を受けますが,
インドでは地域によって,
ナンやチャパティと呼ばれる小麦原料の食品を主食としている場合も多いようです。
意外なのはスペインで,
基本的に米が「主食」扱いされています。
そういえばパエリアなどの米料理は有名ですね。
ちなみにイタリア料理にもリゾットなどの米料理がありますが,
イタリアではパスタやパンもたくさん食べるので,
主食となる品目が特定されにくいようです。
ところで,
欧米では「パン」が主食だと思っている方も多いかと思いますが,
イタリアのように「これが主食!」というものがあまりないお国もたくさんあります。
典型的なのがアメリカで,
一般的なアメリカ人の方々はそもそも「主食」という概念を持っていないようです。
一応,それなりにパンは食べますが,
夕食で肉料理と一緒に供される場合にはパンは付合わせ的な存在ですし,
ハンバーガーやサンドイッチとしてパンを食べる場合にも,
パンに具材をはさんでいるという感覚ではなく,
「ハンバーガー」や「サンドイッチ」という一つの料理としてとらえています。
パスタなんかもたくさん食べられていますし,
朝食ではシリアルやオートミールをメインとしている家庭も数多くあります。
むしろ,
多くのアメリカ人にとって日本における米のような役割を果たしている
のは,
「肉(特に牛肉)」ではないでしょうか。
日本人はよく「米を食わないと力が出ん!」とか言ったりしますが,
(オヤジ的な年齢の人は特によく言います)
同じように「肉を食わないと力が出ない!」と感じているアメリカ人も多いようです。
最近の若い日本人,
特に「肉食系女子」と呼ばれている方々の中には,
アメリカ人寄りの感覚の持ち主もいらっしゃるかもしれませんが……
ヨーロッパでも,
パンよりもジャガイモなどを主食として食べている国がたくさんあります。
(アイルランドやイギリス,ドイツなどがそうです)
話を戻しますと,
日本人が「欧米はパンが主食」と感じてしまっている原因は,
おそらく学校給食に原因があるものと思われます。
現在では,
どの小学校でも普通に米飯給食がありますが,
私たちが小学生の頃には給食といえば「もれなく」パンでした。
しかもかならず副食(おかず)のメニューもついてきたので,
それこそパンを主食(というか「ごはん」)のような扱いで食べていたわけです。
さらに当時は,
パンという食べ物は欧米(というかアメリカ)から入ってきたもの,
というイメージが強かったために,
素朴な小学生は「欧米の主食はパンなんだ~」と思っちゃったんですね。
余談ですが,
当時の学校給食は「パン+おかず+牛乳」が基本型だったので,
おかずが純和食的なものだと,
かなり不気味な組み合わせになってしまうこともありました。
学校給食ネタは結構面白いのですが,
ものすごく長くなりそうなので,
機会を改めて書くことにしましょう。
今回はこの辺で。