クレアール司法書士アカデミー受講生の皆様へ
【平成21年度 司法書士試験の概要】
午前の部
・各科目の出題数
民法の出題数が従来の21問から20問に減少し、商法・会社法の出題数が8問から9問に増加するという変化がありました。憲法、刑法は昨年と変わらず、各3問ずつの出題でした。
・憲法
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分野別 |
内訳:人権2問、統治1問 |
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出題形式 |
学説(推論)問題2問、判例知識を問う問題1問 対話型問題1問 |
学説問題(第1問、第3問)については、これまでの出題傾向と同じく、有名な典型論点からの出題でした。
第1問は、外国人の人権保障に関する学説について、教授と学生の対話+穴埋めの形式で問うものでした。一見学説の見解が問われているように見えますが、?と?の肢に関する判例の知識があれば、肢の組合せから容易に解ける問題でした。
第2問は、選挙権に関する判例知識を問う問題でした。肢ア、エ、オは基本的な判例であり、肢の組合せによって容易に正解を導くことができる問題でした。
第3問は、最高裁判所の規則制定権に関して、法律と規則の効力関係に関する学説の見解を問う問題でした。「他の選択肢が同じグループに入らない選択肢はどれか」という問題文の文言がやや分かりづらく、困惑した受験生も少なからずいたかと思われますが、内容的には、問題文の見解に各肢を素直に当てはめることで容易に解くことができる問題でした。
・民法
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分野別 |
内訳:総則4問、物権4問、担保物権4問、債権4問、親族相続4問 |
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出題形式 |
知識問題14問、学説(推論)問題6問 対話型問題4問 問題文冒頭に「判例の趣旨に照らし」が付く問題14問 |
総則4問のうち、3問(第5問、第6問、第7問)が時効に関する論点であり、出題傾向にかなり偏りが見られました。逆に言えば、それだけ試験委員が時効に関する論点を重要視しているということでもあります。さらに第7問は物権の占有に関する論点も含まれており、物権からの出題と分類することもできます。内縁に関する第21問も、親族編と相続編の複合問題という性質を有するものでした。今後もこのような分野の境界が曖昧な複合型とでも言うべき問題が何問かは出題されると思われます(例:平成19年第4問)。
第6問、第17問、第21問については正答率が若干低くなっていますが(第6問46.8%、第17問35.3%、第21問44.6%)、第21問は肢アとオが基本的な判例知識であり、肢イは民法の条文から判断が可能なため、消去法で正解を導くことができるものでした。
他の問題については、過去問を主軸にテキストと条文で基本事項及び重要判例をしっかりと学習していれば、多少分からないものがあっても肢の組合せで正解できるものが多数であり、全体的な難易度としては、近年の民法と同じく、それほど高いとは言えないということができます。合格圏に入るためには20問のうち18問は正解したいところです。
・刑法
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分野別 |
内訳:総論2問、各論1問 |
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出題形式 |
全て知識型+組合せ問題 問題文冒頭に「判例の趣旨に照らし」が付く問題3問 各論(第26問)は財産財から出題(詐欺罪) |
難易度としては、3問とも比較的平易な問題でした。正当防衛に関する第25問については、長文の事例形式ということもあり、解答に戸惑った受験生もいたかと思われますが、問われている内容自体は、過去問や答練で問われたことがあるものでした。必ず財産罪からの出題があるという今までの出題傾向に沿って、過去問を反復し、答練・模試等で未出の判例を押さえるというスタンスで学習していれば、2問は確実に正解できる内容でした。
・商法、会社法
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分野別 |
内訳:設立1問、株式1問、機関1問、会社の計算1問、持分会社1問、 社債1問、事業譲渡等1問、新設型組織再編1問、商人1問 |
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出題形式 |
全て知識型問題 組合せ問題8問、単純正誤問題1問 問題文冒頭に「判例の趣旨に照らし」が付く問題1問 |
出題数が1問増え、数年ぶりに商法からの出題がなされました。会社法については、例年と同様、条文中心の出題でした。設立から組織再編まで満遍なく出題がされたことも特徴であると言えます。特例有限会社については問われませんでした。
また、昨年と同様、比較の観点からの出題が3問ありました(第28問、第33問、第34問)。会社法を学習する際には、まず原則の規定を押さえた上で、比較の観点(例:公開会社と非公開会社の差異)から条文を押さえることが本試験での得点に繋がると言えるでしょう。なお、第33問については正答率が32.4%と低くなっていますが、肢オは解答が容易であり、解答番号を3又は5以外とした方は、問題の解き方を再検討する必要があると言えます。
午後の部
・不動産登記法
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分野別 |
内訳:総論13問、各論3問 |
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出題形式 |
組合せ問題13問、個数問題2問、単純正誤問題1問 対話型問題2問 学説(推論)問題1問 |
第13問は過去問頻出論点である農地法の許可を証する情報の要否についての問題でしたが、肢イの「遺産分割による贈与」だけが過去問未出の知識であり、更に個数問題であるということも相俟って、正答率は48.2%に止まりました。第16問(登記官の職権抹消)、第19問(2号仮登記に関する教授と学生の対話)も細かい知識を問う肢があり、解答は容易ではなかったと思われます。第17問については、不登法の中で最も正答率が低かった(34.5%)問題となっていますが、肢ア、ウ、エは過去問で出題されている知識が問われており、組合せで解くことができる問題でした(肢アは平成2年第19問肢3、肢ウは平成11年第24問肢ウと平成19年の記述式、肢エは平成元年第16問肢3)。
全体としては、過去問既出の知識と、どのような基本テキストにも載っている基本的な知識を素材とした問題の出題率が非常に高くなっています。信託法についても、丸々1問出題がありましたが、比較的平易な出題であり、改正法対策をしっかりと行っておけば、条文知識と肢の組合せで正解を導くことができるものでした。
・商業登記法
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分野別 |
内訳:総論3問、設立1問、資本金の額・株式・新株予約権1問、 役員変更1問、会社分割1問、組織変更1問 |
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出題形式 |
組合せ問題8問 |
形式面では昨年から引き続いて問題文の長文化の傾向が見られました。内容面では第33問以外、極端に難しいという問題はなく、平成元年以降の過去問と条文、会社法の条文知識、平18.3.31-782号の基本通達を反映した基本テキストをしっかりと学習していれば解答できる問題でした。第34問については、問題形式に戸惑った受験生もいたかもしれませんが、肢ア、ウ、エが容易に判断できるため、解答自体は容易に導き出せる問題でした(正答率72.7%)。また、総論(印鑑提出、登記申請の却下)、設立、株式、新株予約権、役員変更、会社分割、組織変更といったように、満遍なく全般的に出題されているのも特徴でした。午前の部の会社法と同じく、商登法についても基本テキストと過去問の範囲で満遍なく学習することが重要です。なお、特例有限会社及び一般社団法人・一般財団法人に関する問題は出題されませんでした。
・民事訴訟法
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分野別 |
内訳:証拠2問、多数当事者訴訟1問、終局判決1問、少額訴訟1問 |
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出題形式 |
組合せ問題4問、個数問題1問 対話型問題1問 問題文冒頭に「判例の趣旨に照らし」が付く問題1問 |
21年度の民事訴訟法は全体的に見ると高めの難易度でした。第1問、第2問と解答しづらい問題が続き、午後の部の序盤で動揺してペースを崩された受験生もいたかと思われます。そのような受験生の精神状態を反映してか、第1問、第2問、第5問は正答率が低くなっているようです。しかし、裁判上の自白の拘束力に関する第1問については、肢イ及びエが過去問で出題された知識を事例に置き換えた内容であり、これを解答の軸として、後は自白の撤回が許される場合をテキストで押さえておけば、肢アの正誤を判断することは可能でしたので、正解を導くことはできました。少額訴訟に関する第5問も、過去問の学習のみでは解答することは難しかったかもしれませんが、答練等を素材として条文を丁寧に押さえておけば、肢の組合せから解答することは可能でした。したがって、第1問と第5問は、合格圏に入るためには何とか正解しておきたかった問題だったと言えます。
今後の対策としては、過去問を中心に、テキストと条文で訴訟手続の流れを押さえた上で、テキストに記載された範囲で民訴の重要判例を押さえること、及び民事訴訟法上の基本原則(処分権主義や弁論主義等)を理解することが有効かと思われます。
・民事執行法
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分野別 |
内訳:不動産の強制競売 |
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出題形式 |
組合せ問題 |
肢アと肢イは過去問で既に問われている内容であり、この2つの肢の正誤を判断するだけで、組合せから容易に正答を導くことができる問題でした。民事執行法については、過去問と条文を中心に学習し、今年のような平易な出題のときは確実に正解できるようにしておきたいところです。
・民事保全法
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分野別 |
内訳:仮差押命令 |
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出題形式 |
単純正誤問題 |
過去問と条文の知識を中心とした割と平易な問題であったにも関わらず、正答率は31.7%と低迷した問題でした。正解肢である肢1について、問題文中の「立証」の文言を「証明」という意味に取り、「疎明」ではないので誤りと判断した受験生が多かったのではないかと推測されます。
・供託法
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分野別 |
内訳:弁済供託1問、執行供託1問、供託の申請手続1問 |
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出題形式 |
全て組合せ問題 |
3問とも正答率が非常に高く、過去問と供託規則をしっかりと反復学習していれば、容易に解答することが可能な内容でした。供託法の学習については、過去問でよく問われている先例と供託規則の条文知識を押さえることが最重要であり、かつ最も効率的な方法であるということができます。
・司法書士法
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分野別 |
内訳:司法書士又は司法書士法人の業務 |
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出題形式 |
組合せ問題 |
司法書士の業務(3条)や業務を行い得ない事件(22条)、司法書士法人(41条、42条)からの出題でした。平成15年以降の出題傾向に沿って、テキスト、条文、過去問を一通り学習していれば難しい問題ではありませんでした。
今後も「業務(3条、22条等)」や「司法書士法人」の論点がよく出題されるという平成15年以前の傾向に沿って、テキスト、条文、過去問を押さえるのが司法書士法の対策として有効だと思われます。また、平成15年以前によく出題されていた論点(登録や欠格事由等)についても、過去問を題材にして、テキストと条文に一通り当たっておくと良いでしょう。
・記述式
不動産登記については、昨年に引き続き、多くの書面から事実関係を読み取らなければならない別紙方式での出題でした。内容自体はそれほど難しい論点は含まれていないものの、別添資料に基づいた前提登記としての名変登記を見過ごすと、第1欄及び第2欄については全く得点を得られないという結果となりました。また、採点のしやすさを考慮したためか、添付書面の解答方式が要否に丸をつける方式となり、試験対策上は重視されてこなかった不動産の表示についても問われるなど、ここ数年の例の漏れず、出題形式に変化の見られる内容でした。
商業登記については、出題形式自体は例年通りのオーソドックスなものですが、検討すべき論点や解答の記載量が非常に多く、問題全体を把握した上で登記すべき事項について正確な記載をしないと、なかなか得点につながらないという結果となりました。第1欄の新株予約権の行使や取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行については、計算上のミスにより正解に至らなかった人も多く見られたため、大きな差がつく論点とはならなかったと思われますが、その分、基準点を超えるためには、第2欄の役員変更の正確な判断及び記載の精度の高さが要求される結果となりました。
今回の試験より、記述式問題の配点が各35点満点に変更され、記述式合計70点における本年の基準点は41点となりました。この点数は、記述式問題を2問ともしっかり検討しなければ到達できない得点であり、登記法の知識の正確さに加えて、択一及び記述式の時間配分、解く順番の検討等を含めた午後の部全体の戦略的な取り組みが要求される厳しい出題であったと思われます。
したがって、出題者の意図に沿うように別紙資料から論点を正確に読み取れたか、基本的なひな形を正確に理解し記憶していたか、出題者の要求に応える正しい答案を時間内に作成できたか。こうした基本的な訓練が十分なされていたかどうかが合否を分けたと言えるでしょう。
クレアール司法書士アカデミー受験対策室
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