司法書士受講生専用
Q&A 書式編
[09-01-12]
高井秀子
土屋優一
戸谷満受験対策室長

戸谷満先生
昭和60年司法書士試験合格。受験指導歴23年に及び多数の合格者を輩出。司法書士「非常識合格法」を考案。

土屋優一
司法書士試験で初めて法律の勉強をする。勉強を始めてまだ3ヶ月。来年の試験を目指している。

高井秀子
司法書士の勉強を開始して2年目。昨年の試験は惜しくも不合格。実力も十分ついてきた既習者。

 

(優一) 先生、おはようございます。今日も質問に来ました。よろしくお願いします。

(戸谷) おはようございます。今日は朝からですね。

(優一) はい、少しずつ朝型に切り替えていこうかと思いまして。

(戸谷) 朝に疑問を解消して、それから学習というところですか(笑)

(優一) そうですね。先生、今日は記述式試験対策について教えてください。今まで民法、不動産登記法、会社法、商業登記法を学習してきまして、書式についても勉強を始めてはみたものの、なかなか復習が追いつかなくて、書式対策は後回しでもよいのかと思って、高井さんに聞いてみたら「今やれることは、できるだけ今のうちにやっておくべきだし、このまま後回しにすると間に合わなくなるよ」と脅されてしまったので、早めに先生に相談しようと思って来ました。

(戸谷) それで、今日は一人なんですね。

(優一) はい。先生、いつ頃から書式の勉強はするべきですか。もう間に合いませんか?まだ、択一の過去問の精度も高くなくて、こんな状態で書式に手をつけても頭に入らないと思うのですが、どうでしょうか。

(戸谷) 学習を開始する時期は様々だと思いますので一概には言えませんが、土屋さんのように春から学習を開始していれば、もう始めていなくてはいけない時期ですね。また遅くとも1月中には始めないと遅いでしょう。当校のカリキュラム通りであれば、基本4法択一マスター講座と並行して書式マスター講座を実施していますが、基礎講座を終えて、復習段階に入ったころには本格的に学習をスタートしても良い時期だと判断してカリキュラムは作られています。

(優一) 択一の過去問もすべて終わっていませんし、復習が十分でもありません。登記法の択一を理解していないと書式の勉強ははかどらないと思うので、まだ手をつけていないのですが、少し遅いみたいですね。

(戸谷) また土屋さんの完璧主義な面が顔を出しましたね。実は択一と書式のどちらかだけが、完成のレベルまで到達するということは少ないのです。

(優一) どういうことですか。

(戸谷) 書式の勉強は、登記法の応用知識が必要という訳ではなく、択一で学んだ基礎知識の復習にも有効であると考えても良いということです。登記法は申請書を実際に書くために必要な知識となる訳ですから、司法書士の実際の仕事の手順にとても近い内容の学習であるといえます。ここで考えなくてはいけない事は、司法書士の業務のひとつである登記業務は、申請書を作成して法務局に提出する業務であり、決して択一の知識だけで完成できるものではないということです。択一で学習した知識を実際に書式で表現してみると、自分が思ったより正確に書けない事に気付きます。それは、申請書を書くために必要な知識であるという観点がないまま、登記法の択一の過去問に取り組んでいるため、知識のイメージが広がらずに「なぜ、そうなるのか」という考え方が出来ていないことが原因です。そういう意味では、早い段階から書くという作業を取り入れていくべきでしょうね。その時に必要になるのがいわゆる書式のひな形です。書式のひな形が頭に入ってくると、ひな形を思い浮かべることで、解ける択一の問題が増えてきます。択一の精度が上がってくれば、書式の記載事項も頭に浮かんでくることになります。

(優一) ということは、択一が不完全であっても書式についての学習を開始し、書式のひな形を通して、択一の問題を検討するなど連動して学習することが必要だと考えれば良いのでしょうか。

(戸谷) そうですね。その様に考えて良いと思います。少し、択一と書式を関連付けて考えて見ましょう。先ほど土屋さんは書式の学習は後回しにしようと考え、その理由として、登記法の完全な理解、択一の精度があまり高くない点を話していました。「書式の学習が特別なことである」という意識を持ってしまうとその様に考えてしまうと思いますが、不動産登記法の質問に来てくれたときにお話したことを覚えていますか。

(優一) 確か、不動産登記法とは大雑把に言えば、「申請書の書き方」「申請の方法」「添付書面の種類」を定めた手続法である、ということでしたよね。

(戸谷) そうです!だからこそ、不動産登記法の知識をより高いレベルにしていくためには、択一と書式の学習と関連付けて学んでいくことが効率的とも言えるのです。覚えていてくれたのですね。

(優一) 正直なところ、今、話をしていて思い出しました。(笑)

(戸谷) では、具体的にどういうことかを話してみましょう。書式問題の解答には3つの段階があります。(1)法的判断(考える段階) (2)答案構成(表現の段階) (3)答案作成(形式の段階)の三段階です。(1)の法的判断とはまさに択一の学習で得られた知識が必要となります。法的判断とは登記の可否と登記の種類の判断であり、必要な知識は択一の学習でほぼカバーできます。また判例や先例などの知識の有無もこの判断を大きく左右します。択一の問題は文章だけでは理解しにくい分野もあると思いますが、書式の勉強を開始すると頭の中で申請書や登記記録がイメージできるようになり、主登記、付記登記の判別や、登記の順位が理解でき、対抗関係や申請人も判別しやすくなると思います。

(高井) 先生、おはようございます。優一君もおはよう。自習室にいないからここかなと思って。何の質問にきているの。

(優一) ちょっと書式の質問に・・・。

(高井) そうなんだ。私も参加していい?私も質問したいことがあったから。

(戸谷) 高井さん、おはようございます。もちろん良いですよ。タイミング的にはちょうど良いかも知れませんので、そのまま聞いていてください。書式の答案構成のお話になりますので。

(高井) わかりました。

(戸谷) 今は、法的判断について説明しましたが、このようなことから書式の学習を開始し、ひな形を見ていくと、より具体的イメージがついて、択一問題を解答するときに申請書に表現するとしたらどうなるのかを意識することで(登記の形式や目的、事由、事項などがどうなるのか)、よりスムーズに解答が導き出され、書式の知識が択一に活かせるようになります。だからこそ登記法の択一の学習と書式の学習は車の両輪のように進めていくことが理想です。

(優一) 分かりました。択一問題の理解のためにも書式の学習を開始することが必要であり、実際に書式を書いていくためには択一問題を解答するための知識が必要となる。関連付けて学習することが必要なんですね。

(戸谷) では、もう少し書式について話をしましょう。次は答案構成についてです。答案構成にはひな形を覚えていくことが必要です。正しく書けるようになるまで何度でも見て、暗記してしまうくらい繰り返し練習してください。

(高井) 先生、ひな形は数も多くて、どのくらい覚えておかなくてはいけないものなのでしょうか。今、少しそのあたりも気になってしまって。

(戸谷) できるだけ多く、というのが答えになるか分かりませんが、可能であれば当校のベーシック合格書式マニュアルに掲載されているひな形は押さえていただきたいですね。ひな形は申請書を法務局に提出する場合のルールとなるので、それこそ英単語を覚えるような感覚で取り組む必要があります。択一の過去問を何度も取り組むのと同じように書式のひな形も何度も書いて、書式に対しての基礎体力をつけることが必要となります。ひな形が頭に入ってくると解ける択一の問題も更に増え、択一と書式が同時に動き出す、言ってみれば登記法の勉強が見えてくる状態になります。しかし、ひな形の数も高井さんが感じているようにとても多く、また学習しなければならない択一の問題数も多いわけですが、同時に動き出すという理想の状態になるためには、この書式のひな形と択一の知識をインプットしていかなくてはいけないわけです。そういう意味で、かなり苦しい時期を乗り越えなくてはなりません。目的も無く、単に学習しているだけではどちらも息切れしてしまいますが、必ず択一の知識と書式が連動してくると信じて学習を続けることが非常に大切です。基本の学習にはどうしても時間がかかってしまいますが、それをマスターすれば伸びるのも早いですから、基本に忠実に焦らず学習していただければと思います。

(優一) わかりました。とにかく僕は、ひな形を見ること、そして実際に書いてみることから始めてみます。

(戸谷) 最後に答案作成となりますが、その前に高井さん、何か質問がありそうなので、先に質問を受けましょうか。

(高井) さすがは先生。その通りです。書式の問題を解いていて、頭が混乱してしまう時があります。色々な指示や設定もあり、事実関係を整理していくだけで時間がかかり、時間が足りなくなり、ちょっとしたパニックになってしまいます。どうしたら良いのでしょうか。

(戸谷) これは、やはり最後の答案作成と一緒に説明していきましょう。答案作成に必要なことはまず本試験の形式に慣れることです。形式になれるといっても本試験の形式も頻繁に変わっていくので、形式の変化に対応できるように、問題文を読む際の注意点を把握することです。記述式試験は、出題者が求める解答を、出題者が求める形で答案に記載しなければ、得点を挙げることができません。問われていることにだけ正しく解答するということです。

(高井) その様に考えてはいるのですが、うまく事実関係を整理することができなくて。

(戸谷) 事実関係の整理の仕方は人それぞれなので一概には言えませんが、一度、時間をとって、書式の問題と解説を見比べながらそれぞれの指示や設定がどのような意味を持っているのかを丁寧に確認してみることです。まずは、答案練習会でもらっている解答・解説冊子を上手に活用してください。

(高井) そうか。答練の復習のときにもっと工夫をすれば良い訳ですよね。どうしても時間配分ばかりに気が行ってしまって復習するときに十分に気を付けていませんでした。

(戸谷) 時間配分はもちろん大切なので後で話をしますが、答練は結果だけを重視するのではなく、自分なりの解法パターンを身に付けることも大切です。また、解き直しを行う際には、問題文をもう一度しっかりと読み、何を問われているのかに注意をして、答案に何を書かなければいけないのかを確認しましょう。また、問題文を読むときには、どの土地についてか、どの権利についてか、誰についてか、何件目の申請についてかなど、解答のポイントとなる部分を早く正確に押さえることです。書式を解く際には、多くの人が自分なりに図を描いて事実関係を整理し、正確に把握しようとしています。その際のポイントは時間の流れがわかるようにすること。例えば、不動産登記の書式問題で、登記所がオンライン庁に指定された日が記載されていれば、それ以前に登記された権利には登記識別情報は存在しないということになります。このような指示・設定をしっかりと確認しておくと、見落としや混乱はある程度避けられるでしょう。

(高井) わかりました。ありがとうございます。書式を書くときに意識してみます。また、復習の仕方も見えてきました。

(優一) 先生、こんな心配は早いのかも知れませんが、先ほど話しかけていた時間配分について教えてください。

(戸谷) わかりました。時間配分といってもこれは司法書士試験午後の部における試験時間3時間を択一と書式にどのくらいずつ当てるのかという事になりますが、私自身の経験と合格者に聞いた話での平均だと思ってください。大体の想定ですが、書式問題は不動産登記・商業登記で合計100分、択一式試験が70分、見直しに10分程度が一般的でしょうか。このように考えると択一問題は1問あたり2分程度ということになりますから、近年の出題傾向でもある「組み合わせ問題」の特性を利用して解答していくなど、受験に向けての練習、すなわち答案練習会を通してこのあたりは身に付けてもらいたいところです。また、解答の順番についても択一と書式のどちらを先に解いても構わないわけですから、試験時間180分を目一杯活用して、自分なりの解答順序を確立するために色々と試してみるのも良いかもしれません。

(高井) 昨年の試験は単に問題番号の順番通りに解いてきました。結果として商業登記の書式が最後まで書ききれなくて結果は出ませんでしたが、先生の言うとおり、何から解いても、180分以内に問題を解答できれば良いわけですから、今年は少し柔軟性を持って試験に挑もうと思います。去年は不動産登記の書式を後回しにすれば良かったのに、とにかく順番に解いていこうと自分の中で決めすぎていた気がします。自分だけ勝手に制約を設けてしまった感じですよね。もっと勉強して、その場でも対応が利くような柔軟性を身につけるようにしないと。

(戸谷) これは人それぞれなので参考程度に聞いていただきたいのですが、この試験は択一式・記述式ともに足切り点の設定があります。択一の足切りを突破しなければ、記述式試験で書式を採点してもらうことはできません。そう考えると、時間ぎりぎりの状態で択一試験を解くことは精神的にもリスクが高そうです。択一の足切りを確実に突破できるくらいのつもりで時間配分にも注意しながら解いて、時間がきてしまったら不動産登記、商業登記の書式試験は自分の解けそうだと思った問題から解き始める、くらいの気持ちの方が良いのかなと思います。書式は何分くらいかかるのか想定しにくいものですから、まずは択一勝負という感覚でも良いのかも知れません。これも答練でしっかりと時間配分から解く順番などを試行錯誤し、確立していくものだと思います。

(優一) 書式の問題も過去問を見たほうが良いですか。

(戸谷) まったく必要ないとはいいませんが、択一ほど比重は高くはありません。形式も変わってしまいますし。書式試験対策については予備校で出題された問題を中心に復習していくことのほうが有益ではないでしょうか。

(高井) 先生、答練を受験する際のポイントを最後に教えてください。

(戸谷) 答案練習会は時間配分や答案構成について自分なりの方法を確立していくために必要であると考えています。特に記述式試験の場合は書式の解答手順をパターン化してしまうことが大切です。問題文中の設問、事実関係、聴取事項などを、どういう順番で読むのか、問題の読み方、解き方、解答手順を限られた時間の中で試せる絶好の機会が答案練習会なのです。ある程度の力が付いてくれば、自分が答案に書かなくてはいけないことは見えてきます。そして、時間があればそれなりの答案を書き上げることも可能です。しかし、本試験では限られた時間内に書き上げることが要求されるため、解答のポイントとなる部分を速く正確に押さえることが必要です。この作業を、答練で徹底して繰り返し、時間感覚を体に染み込ませてください。ここまでたどり着いたら、合格も見えてきます。あとは最後まであきらめずに、必ず合格するんだという強い気持ちを持って、本試験を突破してください。

(高井) ありがとうございました。また、質問に来ます

(優一) ありがとうございました。同じ事を何度も聞いてしまうかもしれませんが、またよろしくお願いします。

(戸谷) いいえ、また気軽に質問に来てください。土屋さん、朝からがんばっている姿勢はきっと裏切りませんよ。そのままがんばりましょう。

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