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高井秀子 |
土屋優一 |
戸谷満受験対策室長 |
(優一)
(高井) 先生、こんにちは。今日もまた質問に来てしまいました。
(戸谷) こんにちは、今日はどうしましたか。
(優一) この前の質問で不動産登記法は大分すっきりと分かるようになってきて、やる気も俄然出てきたのですが、今度は会社法・商業登記法で分からない部分が出てきてしまって。もっと早く聞きに来れば良かったと思っているのですが、何分にも無精な性格なので・・・
(高井) 私も去年講義を受講して、年内は主要科目の総復習をしているのですが、会社法は改正もあって、使える過去問も少ないと言うこともあり、復習のポイントというか、どの様に知識を集約していけば良いのか見当が付かなくて・・・
(戸谷) 土屋さんも、高井さんも、お二人とも会社法・商業登記法についてのご質問ですか。それでは、どのあたりが不安というか、分からないのか教えてください。
(優一) 僕は、会社勤めをしたことがなくて、会社組織そのものもイメージが湧かないため取っつきにくいというか、いまいちピンと来るものが無くて・・・
(高井) 私は条文が大切だと言うことは分かっているのですが、会社法の条文が長いので読みづらく感じてしまうのと、過去問の扱い方が分からなくて・・・
(戸谷) 分かりました。お二人の質問は良くある事ですので、順を追って説明していきましょう。まずは会社法を学習するときのポイントですが「会社とは何か」という根本的な部分をイメージしてみることです。特に社会人として会社という組織に属したことのない人にとってはピンと来ない部分もあるかと思いますが、前回お話しした不動産登記と違い、会社というのは意外に身近な存在ですから、会社法で使われている用語の定義などをイメージしながらテキスト・条文を丁寧に参照していくこと。これを面倒くさがらずにこなしていくことがまずは大切です。
(優一) 会社に勤めたことがないので・・・会社に対するイメージか・・・。
(戸谷) あまり構えずに考えてもよいと思います。テレビ、新聞、雑誌などでも会社に関する話題に触れる機会は多いと思います。その程度の情報で十分だと思ってください。そういう話題に接した時に、意識してみることです。司法書士試験の会社法は本試験で問題が解ける程度に理解し記憶出来ればいい訳ですから、会社組織自体を知らなくとも良いのです。
(高井) 条文が読みづらくて、なかなか頭に入ってこないのですが・・・
(戸谷) 会社法の勉強は条文に始まり条文に終わる。と言われていますから、条文を丁寧に読むことは大切です。会社法の条文はひとつひとつの言葉が長いため、頭に入りにくいと感じるのだと思います。まずは会社法全体の構造を大まかに捉え、どこに何が書いてあるのかをつかみ、条文を区切って読んでみるなどの工夫が必要かと思います。また、正確に表現するために長くなってしまっている表現は、その近くに自分なりに簡単な言葉で書いておくのも良いと思います。一例を挙げてみましょう。
例:会社法308条1項の「株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有すること」→相互保有株式
例:会社法750条6項の「第789条(第1項第3号及び第2項第3号を除き、第793条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第799条の規定による手続が終了していない場合」→債権者保護手続が終了していない場合
その他、工夫としては、条文中によく「株主総会の決議によって…」と出てきますが、この「株主総会」のところに
(普通決議の略)とか
(特別決議の略)と書いておくとスムーズに読み進めることができます。
準用条文がある場合には、その部分に内容を書いておくと良いです。

など工夫してみるのも良いかも知れません。
(優一) ・・・・?
(戸谷) 土屋さんどうしました。
(優一) 分かったような、分からないような。
(戸谷) 土屋さんは講義をまだ全て受講されていないから、少しイメージしにくいかも知れませんね。会社法を学習する際のポイントですが、一言でいえば「条文の理解を進めること」となりますが、講義では条文の立法主旨や立法背景も話していますから「なぜ」という部分を講義・テキストで繰り返し復習し、正しく理解することを目指しましょう。
(高井) 私も最初は条文を読んでみたけれど、ほとんど頭に入らなくて・・・。会社法の条文構成に戸惑っていたの。さっきの先生のアドバイスで何となく復習のイメージが掴めてきたから早速試してみるけど、土屋君の場合はまずテキストを繰り返し復習してみることが大切かも。私もそうしたから・・・。
(優一) 分かった。幸いテキストは何度も読めるくらいの分量だから、復習するときにテキストを何度も読み込んでみる。
(高井) 先生、あと私は過去問について聞きたいのですけれど・・・。平成18年度に会社法は大改正があって、他の科目に比べて過去問の扱いが難しいと聞きました。復習する時に問題を解いていきたいのですが、どう進めていけば良いのでしょうか。
(戸谷) 会社法は改正後、約1000条もの膨大な条文数となり、しかも改正後の過去問は数年分しかありません。高井さんが悩むように会社法にどう取り組めば良いのか悩むところだと思います。また、改正前の過去問はやらなくても大丈夫なのか、平成18年以降の問題だけで本当に十分なのか、不安もあるかと思います。
(高井) 会社法は8問も出題されますし、範囲が広いので早めに復習したいと思っています。また、商業登記法の更なる理解にも繋がると思っていますし、本当に何とかしたい。
(優一) 高井さんがそんなに熱くなるの初めて見た。
(高井) 情報が少ないのが不安で・・・。
(戸谷) 情報を整理するという観点からもアドバイスしたいのは、平成18年以前の過去問についても「学習の材料に十分になりえる」という事です。旧商法と会社法とは異質の法律と言われていますが、平成18年以前の過去問も復習の材料となりうると考えて良いと思います。
(高井) どういう事でしょうか。
(戸谷) 皆さんが持っている過去問題集は改正後に編集されたものだと思います。私は「過去問を解きなさい」と言っているのではなく、「過去問を活用しなさい」とお話ししています。確かに会社法は改正されましたが、司法書士として仕事をするなら「この知識は持っていて欲しい」と期待される部分は大きく変わっていません。条文の体裁が変わったので、過去問の肢の表現が、新法から作るのとは少し違ってくるというだけです。過去問には解説が必ず付いています。解説を活用するんです。解説は改正後の新法から作り直されております。
(高井) 問題を解かずに新法に沿って編集された解説を読んでいけば良いんですね。
(戸谷) さすがは高井さんです。概ねその解釈で間違いありません。要は他の科目と過去問の取り扱い方が違うのは、解説にくらべ、問題文の重要度が低くなるといったことです。また、改正後、出題されていない条文もまだまだ多くあることからしばらくは学説問題などは出題されにくいと思いますので、そのような過去問の優先度は低いでしょうね。改正により会社法に入った新しい制度などの問題については、闇雲に知識を入れても気が遠くなるばかりですから、過去問では対応できませんが、答案練習会で出題された知識を補充していく事で十分かと思います。
(高井) 改正後はどこが出題されるのかが不安で・・・。かといって、すべてを学習対象にすることも膨大すぎて・・・。
(戸谷) よく分かります。土屋君も一緒なので、ここで過去問と条文に取り組むに当たっての考え方を話してみましょう。
(優一) 良かった。今までの話しは自分には少しイメージしにくかったから助かります。
(戸谷) 司法書士試験の出題範囲、特に午前科目は「民法」とか「商法」というように○○法、要するに条文です。数多くある条文の中から司法書士として仕事をしていく資格を与えるためには「この条文は熟知してほしい」と法務省がピックアップし、その知識の有無を問うために毎年様々な問題の肢を作成してきます。その集積が過去問となります。過去問で繰り返し問われている重要な条文は、必ず深く理解することが必要であると言うことが分かります。
(高井) 確かに闇雲に民法と会社法を学習していたらそれだけで相当な時間が必要になりますよね。会社法以外の科目は過去問などを中心に勉強をしてきたから、余計に会社法について過去問の少なさから戸惑っていましたが、大分復習の方向が見えてきました。
(戸谷) まあ、最後まで話しを聞いてください。次に過去問に出題されてきた肢とその根拠となる条文のどちらが重要になるかも考えてみてください。もちろん、根拠条文の理解が重要になるのは明白ですね。特に肢自体が古い条文に基づく出題の多い会社法ではなおさらでしょう。では重要な条文はどのように選別すれば良いのか。もちろん過去問という事になりますが、ここで工夫をしてみます。過去問の解説文には根拠となる新法の条文が記されています。出題された条文にはチェックを入れる、例えば正の字で六法などにチェックを入れていくと、どの条文が何度出題されているのかが分かります。そうする事で何度も問われている重要な条文なのか、ほとんど問われることのない条文なのか判別が付きます。ある意味絞り込みを行うのです。重要な条文はこれまで何度も肢が作成され問われています。また今後も問われる可能性が高い。したがって皆さんはその出題される条文を正しく理解するために、形を変えて出題された肢を素材に復習していく。この勉強を続けていくと「なぜこのような選択肢が出題されるのか」という意識を持つことになり、さらに条文を読み込む事になりますから、理解度が格段に高まってくるはずです。
(優一) そうか、今までは何となく過去問を解いていたけれど、復習時の工夫の仕方や意識を変えることで本当に大切な重要条文が見えてくるのか・・・。先生、他の科目でも同じですよね。
(戸谷) そうですね。司法書士の勉強の中心は過去問と条文と言われますが、その意味が少し見えてきましたかね。この様に復習していくと重要度と理解度のバランスが取れていなくてはいけないと言うことに気がついてくれると思います。バランスが取れていないとどの様な状態になるかというと、答案練習会等で正答率の高い問題を不正解としてしまい逆に正答率の低い問題を正解するという現象が出てきます。これは復習する際に、自分が知らなかった、または見たことがないような問題に戸惑ってしまい、重要度がそれほど高くない問題の復習に必要以上に時間を費やしてしまうことが常態化していることの表れではないでしょうか。いわゆるバランスが取れていない状態です。この様なバランスが取れていない状態を少なくし、重要度に応じた必要な部分の理解を深めるためにも過去問を有効に活用する事が大切でしょう。私が良く言っている「難問は解けなくても良い、難問以外はすべて正解できた」という言葉はこの様に考えて勉強して頂ければと思います。
(高井) よく分かりました。あと先生、商業登記法の事なんですけど。
(戸谷) 商業登記法とは会社についての一定の重要事項を会社の債権者や取引の相手方等のために公示し、取引の安全と円滑に寄与するための手続を定めたものです。本試験でよく問われているのは、登記申請の手続や添付書面です。手続法なので、登記申請手続に必要な細かい部分を少しずつ押さえていけば十分にわかるようになります。会社法と商業登記法は切っても切り離せない関係ですから、会社法の理解に努めれば商業登記法も分かってきます。安心してください。
(高井) はい、しっかりと会社法を復習します。
(優一) 先生、今日は過去問への取り組み方とか具体的に教えてくださってありがとうございました。すごく参考になりました。話しを聞いている途中から今までの復習に何が欠けていたのか、今後どの様に復習していけば良いのかが分かりました。早速実践してみます。
(戸谷) 今日は大分、私が話してしまいましたね。繰り返しになるかも知れませんが、司法書士試験は全てを網羅的に学習しようとすればとてつもなく膨大な学習量と時間が掛かりますが、「重要度と理解度」このバランスを取ることを復習時に心掛けていけば、本当に必要な部分の理解を確実に身に付けることができ、合格を勝ち取れることができる試験です。ぜひ、諦めずに頑張ってまいりましょう。また何かあれば質問に来てください。
(高井)
(優一) 先生、今日もありがとうございました。また質問に来ると思います。その時はよろしくお願いします。
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