「クレアールのテキストは合格への近道」

西岡 智憲さん

1.初めに

私はいわゆるベテラン受験生でした。最後の2年間は会計事務所で働きながら勉強を続けており、仕事が終わった後に教材カセットを2倍速再生で聴く等なんとか時間をやりくりしながら勉強していました。毎年この合格体験記を読みながら、自らの勉強方法の改善のヒントを探したり、一方で自分のこの勉強方法は間違っていないという確信を得たりしていたので、自身が幸運にも合格できた今、短期合格を目指す皆さんや、図らずも受験勉強が長期化してしまっている皆さんに何らかの「ヒント」や「きっかけ」を提供できればと思い、今回筆を取らせて頂きました。試験制度が変わったことで、今年からは試験科目や試験時間、科目間のバランス等にも変化が生じていますが、合格の為のエッセンスや心構えに関しては共通する部分も有ると思うので、他の方の体験記も含め、皆さんの受験勉強の何らかの参考になれば幸いです。

2.合格まで長期間を要した理由

幾つか考えられますが、やはりなんと言っても「非常識合格法」を徹底し切れなかったことが一番の理由です。私の受験期間を大きく3つに分けると、試験に対する考え方、姿勢が甘かった初期(非常識合格法以前に、そもそも勉強不足であったいわば常識不合格法を実践していた時期)、非常識合格法を徹底しきれずに不合格となっていた中期、非常識合格法を徹底し尽して合格を信じて突き進んだ後期、といった感じになります。

初期に関しては何も語る必要は無いでしょう。こういうタイプの受験生とは絶対に仲良くなってはいけません、というアドバイスしかできません。何より、なかなか合格が見えてこなかった中期と合格を信じながら勉強できた後期との違いからは、クレアールを選ぶ以上は、「非常識合格法を徹底できるか否か」が合否の分かれ目だとはっきり言う事ができます。

3.私なりの実践方法

全科目に共通するアプローチ

何より徹底したのは、答錬の前日までにその範囲のスピーチを完成させておくことでした。そして当日は簡単に最終チェックするだけで済むようにして答練に臨むようにしていました。答練の当日や直前になって新たに覚えるのでは知識の定着という点で甘くなるのではないかと考えたからです。そして答練の後はその日のうちにその答練のスピーチを徹底するように心がけ、その後は一定のペースで答練のスピーチを繰り返していました。

非常識合格法を実践するに当たってとにかく大事なのは、答練を欠かさず受け、尚且つ必ず提出する事だと考えます。答練をペースメーカーにして勉強することによって着実に実力は付いていくと思います。

計算科目(簿記、原価計算(管理会計論)、経済学)について

毎日、答練の一回分を簿記+経済or原計+経済の組み合わせで交互に解いていました。目標としては一回2時間の問題を1時間から1時間半で9割以上の得点をとることに置いていました。計算問題ではやはりスピードと正確性が同時に求められるので、答練本番も含めその2点を常に強く意識することが重要だと思います。そして結果的に得点できたとしても理解が不足している論点については必ずテキストに戻って確認するようにしていました。また「答練ミスノート」作って、毎回、間違った部分をメモすることによって自分のミスのパターンを洗い出し、実際に問題を解く時に常にそれらを意識できるように努めました。答練ミスノートを作る場合、論点の理解不足によるミスよりも、特に凡ミスによる間違いをメモしておくことが重要ではないでしょうか。本番で一番恐いのは自分が凡ミスをしていることに気づかずに問題を解き進めてしまうことだからです。

財務諸表論について

テキストとスピーチ集をベースにとにかくスピーチを繰り返していました。スピーチ集の各項目の横に日付と「〇」(完璧)、「△」(キーワードは漏れなく挙げられたがロジックが曖昧)、「×」(必要なキーワードが一つでも抜け落ちていた)を記し、2回目、3回目と繰り返すごとに自分に対する採点基準を厳しくしながらスピーチをしていました。繰り返すごとに「〇」が増えていくと自信にもなります。また、直前期には答練とスピーチ集の「△」と「×」が多い項目を中心にスピーチしていました。

監査論について

監査論については答練を中心にスピーチをしていました。テキストは余裕があるときにだけ答練に出ていなかった部分を+α的に読んでいました。また監査論に関しては、解答用紙に書く分量がとにかく多いので、直前期にはまず実際に「書く」スピーチをすることで量をこなす事に慣れ、そこで知識が曖昧であると感じた部分を通常の「喋る」スピーチで確実に頭に入れるようにしていました。

商法(企業法)について

毎日、応用期のテキストの中の問題2問または答練を繰り返し解いていました。問題を解くにあたっては、既に何度も出てきていて覚えてしまっている条文であっても必ずその都度毎回、六法を引いて条文に当たって黙読をしていました。また問題を解いた後は各問を「論点把握」、「キーワード」、「答案構成」の3つの視点からチェックして、それぞれについて「〇」、「△」、「×」印のチェックを入れていました。

経営学について

管理論、財務論ともに答錬を繰り返して解く事を中心に、管理論については毎週日曜日の朝にテキストを読むことを習慣化させ、財務論については答練の出題部分に関連する項目についてその都度テキストを読み込むように心がけました。テキストについては逐一暗記するというよりも何度も読み込むことで自然に頭に入れるイメージで読み、答練についてはスピーチを徹底することでしっかり暗記するようにしていました。

短答式対策について

短答式総合答練を4月から試験前日までにそれぞれ3回ずつ繰り返せるように、答練を解きなおす日程を逆算して決めていました。ペースとしては、1回目は週に1回、2回目は2、3日に1回、3回目は毎日1回、という具合です。この時、自分なりの解くパターンと時間配分を確立する事が大事ではないでしょうか。また商法については、短答式対策に特化した直前期のテキストを、毎日、10分間で50問の正誤の識別が出来るように時間を計って繰り返し解いていました。

4.本試験直前から本試験に向けて

本試験が近くなるとどうしても「落ちたらどうしよう」とか気持ちがネガティブになりがちですが、そんな事を考えている暇があったらスピーチをするべきだと思います。本試験に向けて覚えなければならない事は山ほどありますし、落ちた時の事は落ちてから考えても遅くはないので(実体験から本当にそう言えます)、とにかく手を動かす、口を動かす、電卓を叩く等、何かしている方が気持ちも安定します。

本試験においては、短答式に関しては、解らないところ、判断に迷うところはとにかく後回しにして次々と問題を進めていくことが必要です。短答式総合答練を解いていく中で身につけたパターンに従って進めていけば大きく崩れる事はないでしょう。

論文式に関しては、できそうなところから解く、これに尽きます。そしてできるだけいつもと違うアプローチをすることなく答練の延長のように考えて取り組むように心がけることが大事だと思います。

5.クレアールと非常識合格法のメリット

なによりもまずテキストが厚くない、答練が多くないということに尽きます。テキストが厚くない、答練が多くないという事は、同じだけの勉強時間の中で全体を通してより多く繰り返す事が出来るという事です。より多く繰り返すことが出来るという事は、一つ一つの知識の定着度や精度が高いという事です。知識の定着度や精度が高いということは、短答式本試験での正誤の判断がより速くつけられる、論文式本試験で書くべき論点、書くべきキーワードがより速く頭に浮かぶ、整理できるという事です。つまり合格への近道だという事です。

またもうひとつクレアールのメリットとして(個人的にはこれが一番のメリットだと感じていますが)、校内で遠慮なくスピーチが出来る雰囲気にあるということです。初学者として入ってこられた方は、ちょうど直前期にある先輩受験生が廊下やロビーや階段でテキストや答練を眺めながらブツブツ呟いている姿を見かけて違和感を覚えるかもしれませんが、1年経ってスピーチが身についてみると、人前でブツブツ呟きながらスピーチをすることに遠慮や気後れがいらないクレアールの校内の雰囲気にむしろ感謝するくらいになっているでしょう。他の場所では変な目で見られることもありますし。

6.すべては自分次第

合格まで長期間を要してしまった者として、過去の自分自身や他の不合格になってしまった人たちを振り返って思うのは、この試験は勉強をした順番に合格していくというよりも、言い訳を始めた順番、自分を甘やかした順番に不合格が決まっていくということです。合否を分けるのは、自分なりの勉強方法を確立することに加えて、「合格に向けた気持ちの強さ」、「真摯に勉強に取り組む姿勢」を持てるかどうか、つまりすべては自分次第だという事です。

そして実際に合格する事ができた今思うのは、公認会計士試験はそういった強い気持ちを持って、やるべきことをコツコツと確実にこなしていけば必ず結果に繋がる試験だということです。

7.最後に

多くの皆さんがそうだと思いますが、受験生活とは結構孤独なもので、長期化すればするほどより強くそう感じるものです。でも合格して分かるのは、自分は本当に色んな人に支えられ、気に掛けてもらっていたという事です。今は自分が合格した歓びよりも周りの人たちへの感謝の気持ちを強く感じています。クレアールでは、講師の先生方、事務局のスタッフの方々、毎朝教室を掃除してくれている掃除のスタッフの方々、全てのスタッフの皆様に感謝しています。来年はこれを読んでいる皆さんが、合格後の慌しい中で合格体験記の執筆に悪戦苦闘できることを願っています。