公認会計士合格体験記「ゼロから正味1年での上位合格」斉藤 望さん

斉藤 望さん

目次

はじめに

  私が公認会計士試験を目指されている皆さんに伝えたいメッセージが二つあります。「公認会計士試験は難関といわれるが、ゼロから始めても1年あれば余裕で合格できる」こと、そして「会計士冬の時代といわれている今だからこそ、公認会計士は目指す価値が十分ある職業である」という2点です。

合格までのプロフィール

私は2010年7月にクレアールに入学、5カ月後の12月の短答式試験を通過し、2011年8月の論文式試験は全国17位の成績で上位合格しました。勉強開始時点での私の実力は、前年冬に、簿記が好きになれるかどうかをチェックしようと独学で受けた日商2級レベル。監査論や企業法、租税法や経営学はもちろん、連結などの高度な簿記の知識や財務諸表論の理論も手つかずというほぼゼロの状態でした。それでも毎日7~8時間寝る普通の生活で、十分合格できるのです。

クレアールに入学した理由 

私がクレアールを選ぶ決め手になったのは、短期間での一発合格をうたった「非常識合格法」の存在でした。私は社会人経験者で勉強のスタートが遅かったため、監査法人への就職を睨むと年齢面でハンデがありました。それゆえ「なるべく上位での一発合格」が至上命題と考えたのです。大学受験でも、たった一冊の問題集の問題を暗記して解き方が反射的に出てくるまで何度も繰り返した時期に一番力が伸びた経験があります。だからこそ、受験生が落としてはいけない基本的かつ重要なポイントに絞って薄い教科書にまとめ、徹底して繰り返すことで知識を血肉化する非常識合格法はすんなり納得がいくものでした。

勉強法について

さて、最近の会計士試験をみると短答式試験が非常に難しくなり、逆に短答が通れば論文はさほど難易度が高くない気がします。そこで12月までは徹底して短答対策の基礎固めをしてください。私は7~9月までの3カ月は計算の習得と割り切り、徹底して簿記と管理会計のテキストと問題集を繰り返しました。最初は1週間かかった問題集の一回転も、3回目は3日、5回目は間違いやすい問題だけを選び1日で終わるようになります。ある時期にひとつのことに集中して取り組むこの「集中勉強法」は、問題の繰り返しサイクルが短くなって記憶の定着が進む効果や、科目の全体像が分かって理解が深まる効果があります。問題集が難なくとけるようになれば、次に短答答練について間違えた問題をファイルにまとめ、同じように3~5回転させてレベルアップを図りました。この時期は計算に集中する余り、よく夢の中に仕分けや原価計算の問題が出てきたほどです。

計算が固まれば残り2カ月は監査論、企業法、会計学の理論問題にあてられます。私はここでも計算同様に科目ごとの集中豪雨的な、勉強をしました。まず10月の1カ月で、各教科ごとに1週間ぐらいずつ集中的に過去問や問題集を繰り返し解き、科目の全体像を頭に入れました。取りあえず一回転させることで科目全体の「スケール感」が分かれば、次に繰り返すのにどの程度時間を要するか分かり、焦りが消えます。また理論科目は読むだけで覚えた気になって実は何も身についてない落とし穴を避けるべく、ノートに短答の正解の肢を書き写し続ける「写経勉強法」を行いました。計算は書いて覚えるのだから理論も同様のはずです。話が前後しますが、論文式は文章を書く試験なので、この場合もさらに正しい答えを書いて身につける「写経勉強法」はお勧めです。

ところで集中豪雨的に一つの科目を勉強する際の注意点は、だらだらとやらずに必ず科目ごとに期間を区切り、「納期遅れ」の甘えを自らに許さないようにしてください。本番前の3週間は総復習にあて、模試や答練で間違えた問題を全科目網羅的に一回転させ、適宜テキストに立ち返りながら総復習しましょう。

私は勉強期間も短く、難しい問題にぶつかって気が滅入ることもありましたが、その時は非常識合格法のメッセージの「すべてを知る必要はない。大事なコアをマスターすれば十分合格圏内」という教えを信じ、さらっと流しました。そして試験当日は「これだけやったのだから他の受験生に絶対負けない」という自信で、余裕を持って臨めました。考えてみれば自分より1年も2年も長く勉強している受験生がいるわけで、全く根拠のない自信なのですが、短期の勉強期間だったからこそ直前の勉強密度の濃さで「すごく勉強している」的錯覚がうまれ、いい気分で本番に臨めたのだと思います。

短答を半年で合格すれば、既に基礎ができ、勉強スタイルも確立され、8カ月と十分な時間があるのですから、論文試験の勉強は余裕です。私もこの期間はあまり激しく勉強した記憶はありません。自分にとって鍵だったのは1日10時間机に向かうことを習慣づかせた最初の1カ月と短答前の1カ月だったと思います。

最近の会計士試験と実際の仕事について

ところで、昨今は会計士試験に受かっても就職難(*1)といわれます。しかし年間4000人も合格した数年前が異常だったのであって、業界では必ず毎年1000人程度の求職ニーズはあります。今年度あたりから試験合格者を1000人規模の常識的な線に抑えにかかっているので、就職難は解消が見えてきたと思います。また会計士になっても就職難なら他の仕事はなおさらです。皆さんは合格者数が減った今だからこそ、1年間集中して勉強を頑張れば合格=就職が間っていると前向きに捉え勉強に集中してください。合格するまでは就職の心配をする資格はありません。(*1)ここ数年は超売り手市場です。

私が会計士を目指したのは、経済ジャーナリストだった前職時代、企業の合併・買収などグローバル経済のダイナミズムを目の当たりにし、自分もウォッチャーでなくプレーヤーとして国際的に活躍したいと思ったのがきっかけです。ビジネス界の世界共通語である会計の専門家である公認会計士こそ、そこに至る一番の近道だと思ったのです。

  私は既に大手監査法人に勤務していますが、会計士の世界は予想にたがわず素晴らしいと実感する毎日です。日本が誇るグローバル企業に寄り添い世界を飛び回る国際監査業務。最先端の金融商品や規制の知識を武器に、専門性を極める金融監査業務。新規株式公開などを通じて経営者と二人三脚で中堅企業の成長を支えるIPO業務。そして将来重要性を増すのが必至の公会計。まさに様々な可能性があります。

最後に

受験勉強は苦しいものでしょうか? 社会に出て仕事をすれば、自分の力だけではどうにもならないことが数多くあります。しかし勉強はやればやっただけ必ず伸びます。私はこんな楽な世界は無いと思って1年を過ごしました。公認会計士の勉強は甘くありませんが、真剣に過ごす1年という時間はそれを成し遂げるのに十分な時間です。私でもできたのですから、皆さんも絶対にできます。合格はゴールではなく職業的専門家になる通過点にすぎないのですから、受験勉強などは短期間で駆け抜け、皆さんが一日も早く実り多き会計士の世界に足を踏み入れて下さることを願って止みません。

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