公認会計士合格体験記「私の合格体験記」畑 明弘さん

畑 明弘さん

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公認会計士試験との関わり

私は大学在学中公認会計士試験を受験したことがありました。模試の成績も悪くありませんでしたが結果は不合格であり、当時は中途採用がなかったため、やむなく浪人することなく一般企業に就職いたしました。しかし勤務先が吸収合併されることとなり、その後の進路を考えるとき、学生時代の不完全燃焼の記憶があり、幸いにも経済的に余裕があったため、20年以上のブランクを経て再度挑戦することとしました。仕事は経理関係で大学在学中に日商1級は取得しておりましたが、業種が規制業種のため、会計基準の改定とはあまり縁がなかったため、簿記や管理会計は古典的な論点以外はなじみがないという悲惨な状況でした。そのためその穴埋めと記憶力の低下と相まって合格までに時間を要する原因となりました。

クレアールを選んだ理由

上述のとおり、中年以降の受験ということもあり、年齢のハンディを考えると学習範囲を絞らざるをえず、必然的に非常識合格法のクレアールを選択することとなりました。

各科目の勉強法

■簿記

受験生の皆さんと同様に最大の時間を割きました。日商1級の取得は20年以上前であり、その後の新会計基準との関わりも少なかったため、全くの初心者ではないものの、それなりの点数をあげられるまでに相当の時間を要してしまいました。テキストと答練から自分なりに仕訳例を作成しシステム手帳にまとめ、いつでも見直すことができるようにして記憶力の低下を補いました。ある程度までパターンを網羅したあとは、得点源とすることができるようになりました。一般に年齢をかさねるほど計算科目は不利といわれていますが、私の経験に基づけば、仕訳と出題パターンの習熟に時間を要するということであって、努力しても計算力が向上しないということではないということです。

■管理会計

伝統的な原価計算分野は過去の知識である程度まで対応できましたが、一方新しい管理会計分野は簿記の新会計基準と同様に苦労しました。管理会計の計算は、その手順が重要であって、計算そのものは単なる作業である場合が多いため、計算はその手順を確かめるために行い、その理論的な根拠が理解できれば必ずしも反復練習することはしませんでした。今年の本試験では、管理会計論でも論述のウエイトが上がってきており、論述への対応も早めに始める必要があると感じました。

■財務諸表論

あまり薦められないことですが、理論科目のうちでも大きなウエイトをかけてしまいました。石井先生の激辛の採点は、受験生にとって学習意欲を低下させてしまいかねないほどのインパクトがあるため、邪道の勉強法ではありますが答練の問題が数多く掲載されている「演習セレクト50題」をスピーチの題材に選び集中的にスピーチしました。答練である程度の点数が稼げるようになれば、自信もつき他の科目の学習意欲も向上するため、一つの目安として利用しました。

■監査論

新監査基準についての理解が不十分であったため、点数が低迷しておりました。また、仕事である程度の予備知識があったことが逆に作用し、何となくわかったような気になってしまい、答案作成のために必要な暗記がおろそかになり、短答では比較的よい成績であったものが、論文対策では一転して不得意科目となってしまいました。そこで、答練の問題と解答を大型のカードの両面に貼り、本試験直前にスピーチを行うことでなんとか対応することができましたが、正直なところ余裕を持って時間を割くべきであったと反省しています。

■企業法

旧商法のイメージがいつまでも頭に残り、会社法への切り替えに失敗しました。また短答対策を重視して、条文を参照せずに学習していたため、論文対策の段階でテキストと条文の参照練習をあらためて行うこととなってしまい、過度な短答対策は弊害も多いと実感しました。初学者の方は一見すると回り道に思えても、条文を参照することを励行してください。

■経営学

本年の経営管理論の試験では、必ずしもテキストに取り上げられていない一般的な知識についての出題もありました。クレアールのテキストは重点に絞ったものであるため、危険負担として日経新聞の見出しだけでもチェックしたほうがよいと思います。財務論については、全く予備知識がなかったため、クレアールのテキスト以外は手を出さず、公式をシステム手帳にまとめ、答練の問題のみ反復しました。

■租税法

仕事の関係である程度の予備知識を持っておりましたので、初学者の方よりはスムーズに学習できたと思います。租税法は理論の簿記ともいわれ、習得にある程度の時間を要するため、短答重視の勉強を行う場合でも、法人税の減価償却や受取配当などは勉強しておかないと短答合格後のスケジュールが厳しくなりますので、完全に省略することは禁物です。ただ税法の計算パターンについては論点ごとにまとめられているため、申告書の全体像については市販の税理士用テキストで補充する必要がありましたので、その点には改良を加えて頂けたらと思います。クレアールのテキストは要点を絞り込んだ濃縮タイプで、なかなか時間を配分できない租税法の習得には適していたと思います。本試験では、手が回らず捨てた論点が出題されてしまいましたが、租税法は手を広げてしまうと税理士なみの勉強をすることになってしまいますので、合格必要習得範囲に絞る非常識合格法がコスト・パフォーマンスの面から優れていると考えます。

スピーチについて

スピーチは非常識合格法の主要なツールですが、回り道な方法であると考えておられる受験生の方も多いのではないでしょうか。はじめは記憶力の低下しつつある中高年の受験生でもあり、スピーチの効果を疑問に考えておりましたが、記憶力の衰えのため若い受験生以上の反復練習は必要となるものの、決して克服できない訳ではありませんでした。スピーチを繰り返すうち、覚えづらい表現については、別の表現で代替できないか、あるいは代替可能であるとしても、誤りはないかと自問自答するようになります。すなわちスピーチは単純な反復訓練ではなく、答案に安心して使えるセンテンスを習得するだけでなく、自己学習の効果を有しているのです。本年の財務会計論のように、予備校の予想をはずしたとらえどころのない回答しづらい問題には、むしろ有効なのではないでしょうか。

最後に

年齢のせいもあり、短期合格という非常識合格法の王道とは無縁でありましたが、スピーチが記憶力の低下しつつある中高年の受験生にとって、一見回り道に見えても結果的に有効であるというもう一つの非常識合格法を立証できたと思います。お世話になったスタッフの皆様方どうもありがとうございました。

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